「#世界はジャズを求めてる」2022.10月4週(10/27) eLPop伊藤嘉章・岡本郁生 #鎌倉FM
『世界はジャズを求めてる』第4週は「ラテンとジャズの危険な関係」。eLPopの伊藤嘉章(mofongo)と岡本郁生(el Caminante)がお送りします。
まず【邦盤紹介】から。先日『Yoshi Iba Jazz Trio with Special Strings Quartet Live 』のライブでストリングス・ユニットを率いたクラッシャー木村さんの演奏が素晴らしかったので彼女のアルバムから1曲ご紹介します。
1. アイス・キューブ・クラッシャー / クラッシャー木村from "Crusher Kimura" (2017)
https://youtu.be/Umf0Syct2QQ
(ライブ映像より)
クラッシャー木村(vln)、松本圭司(p)、八尋洋一(b)、はたけやま裕(perc)(アルバムでは+藤井摂(ds)、)
クラッシャー木村さんは4才よりヴァイオリンをスタート。東京藝術大学を卒業し1993年「芍薬」のメンバーとしてアルバムデビュー。以後レコーディングやライブ活動開始しaiko、絢香、YUKI、いきものがかり、Every Little Thing、大塚愛、辛島美登里、土屋アンナ、平原綾香、ケツメイシ、ATSUSHI、浜崎あゆみ、ASKA、supercell 等様々なアーティストのツアーやレコーディングに参加するなど幅広く活動しています。今日は2017年のリーダー・アルバムの曲。放送ではスタジオ録音でしたがここではライブ映像で。
さて、8-10月はラテンとジャズをつなぐ人の逝去がほんと多かったので
<追悼特集>
です。
まず、
【ロニー・キューバ/Ronnie Cube】から
(1941/12/25 – 2022/10/7, 80歳没)は、バリトン・サックス奏者&マルチリード+フルート奏者。ラテン、ポップ、ロック、ブルースと多くの分野で活躍。ハード・バップやラテンジャズの先駆者とも言えるでしょう。1962年:スライド・ハンプトン、1963-65年メイナード・ファーガソン1966-1967年ジョージ・ベンソン、1970年代のパルミエリ、同時に1970年代中期フランク・ザッパ。『ザッパ・イン・ニューヨーク』など。1979年リー・コニッツ・ノネット。1990年代初期ミンガス・ビッグ・バンドと引く手あまたの活躍。あと思いつくだけでもB.B.キング、ポール・サイモン、エリック・クラプトンらとも。J・ガイルズ・バンドの『フリーズ・フレイム』、ロニー・スミスの『ドライヴス』のサックスも彼。サタデー・ナイト・ライブ・バンドのメンバーも務めました。
そして、なんと言っても70年代のパルミエリの諸作。『山へ行こう』 (1971)『Harlem River Drive 』『ライヴ・アット・シンシン』 『ライヴ・アット・シンシン Vol. 2』 『ザ・サン・オブ・ラテン・ミュージック』(1974)『アンフィニッシュド・マスターピース』『ルクミ、マクンバ、ヴードゥー』は皆彼のバリトンがフューチャーされ、サウンドの重要な要素となっています。2017年の『サビドュリア』でもブリブリした快演を聴かせてくれます。
1993年のリーダー・アルバムから2曲お送りします。まず、自らも参加したエディ・パルミエリの名演を取り上げた”Adracion”、そしてファラオ・サンダースに捧げた”Song for Pharoah”です。
2. Adoracion / Ronny Cuber, from "The Scene is Clean" (1993)
3. Song for Pharoah/ Ronny Cuber, from "The Scene is Clean" (1993)
さてロニーがオマージュを捧げたファラオ・サンダースも亡くなってしまいました。
【ファラオ・サンダース/ Pharoah Sanders】
(1940/10/13アーカンソー州リトルロック- 2022/9/24、81歳没)テナー奏者。当初はブルースを演奏し、1959年、加州オークランドへ移りデューイ・レッドマンやフィリー・ジョー・ジョーンズらと共演後1962年拠点をニューヨークへ。
サン・ラとの共演を経て1964年リーダー・アルバム『ファラオ』をリリース。1965年にコルトレーンのグループに加入。61年の日本公演にも同行しています。1967年コルトレーンの他界後ソロに。ゴスペル、ファンク、アフロビートなど幅広い黒人音楽をフリー・ジャズに取り込む。『カーマ』(1969)『ブラック・ユニティ』(1971)など名作を次々に発表します。インパルス時代はロニー・リストン・スミス、セシル・マクビー、ロン・カーター、スタンリー・クラークなどと共演。1977年アリスタに移籍後はコンテンポラリーへ。1987年にタイムレスに移籍。ヴァーヴやヴィーナスにも録音があります。リーダー作では「ネイマ」「Welcome」などコルトレーン・レスペクトが強い作品が多いです。今日は1973年にザ・ラテン・ジャズ・クインテットと組んだ作品からお聴きください。
4.The Dues Payer / Pharoah Sanders from "Pharoah Sanders & The Latin Jazz Quintet""Oh Oharoah speaks!"(1971) or "Pharoah Sanders & The Latin Jazz Quintet" (1973)
Pharoah Sanders (ts, ss), Melvin Lastie (cor), Lonnie Hillyer (tp), Virgil Jones (tp, flh), Harold Vick (ts), Hugh Brody (ss), Jackie Jeffers(tb) , Kiawni Zawadi (tb), George Gould(p), Stanley Johnson (p), Alex Lane(b) , Bill Ellington (b), Charles "Chuck" Rainey (b), Cornell Dupree(g) , Jerry Patterson (g), Earl Williams(perc) , John Giggs(perc) , Juan Amalbert (perc), Pete Jackson(perc) , Ray Armando(perc) , Ray Lucas(perc) , Tommy Derrick(perc)
アーシーなラテン・ジャズを得意としたプーチョ・ブラウン(timb)も亡くなってしました。
【ヘンリー・”プーチョ”・ブラウン/Henry “Pucho” Brown】
(1938/11/1 ハーレム-2022/9/21 83歳没) ティンバレス奏者、バンドリーダー。
ジャズとラテンで育ち高校中退後ロス・ロコス・ディアブロスを結成。17歳頃にはジョー・パナマと共にプロに。パナマが全員クビにしたメンバーがジョー・キューバ・グループになったが、プーチョはしばらくしてバンドを引継ぎ、プーチョ・アンド・ザ・チャ・チャ・ボーイズを結成。チック・コリア、ヒューバート・ロウズも在籍という時代がなんとも素晴らしいです。
1960年代のブガルー、ラテンソウルの中でプレステージと契約「プーチョ・アンド・ザ・ラテン・ソウル・ブラザーズ」と改名&活躍しました。
1970年代後半ラテンソウル・ブラザーズを解散し、1年間音楽活動を休止した後、キャッツキルに移住・演奏を続けます。1990年代UKのアシッド・ジャズのブームで復活したのが嬉しい。日本のレーベルを含め数々の作品を発表・活動しました。曲はハービー・ハンコック作曲で彼のヒット曲、カンタロープ・アイランドをどうぞ。
5. Cantalope Island / Pucho and the Latin Soul Brothers from “Tough”(1966)
Henry "Pucho" Brown (timb), Vincent McEwan (tp), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), John Spruill (p), Jon Hart (b), Richard Landrum (congas), Norberto Appellaniz (bongos), Recording Engineer: Rudy Van Gelder
そして、ラテンとジャズの間でトランペッター、作曲家、編曲家として活躍した【マーティ・シェラー/Marty Sheller】
(1940/3/15日ニュージャージー州ニューアーク、2022/9/17)トランペッター、アレンジャー。パーカッションを学び10代でトランペットに転向。ハーレムでヒューゴ・ディケンズと演奏、サブ・マルティネスのアレンジを担当し、ルイ・ラミレスやフランキー・マラベといったアフロ・ラテン・パーカッショニストと活動を開始。1962年にはモンゴ・サンタマリアのバンドのトランペッターとなり、40年以上にわたって作曲家、編曲家としてモンゴと仕事をします。同時にファニアのハウス・アレンジャーとして、ジョー・バターン、ルベン・ブラデス、ウィリー・コロン、ラリー・ハーロウ、エクトル・ラボー、イスマエル・ミランダらに提供。
Fania以外では、ジョージ・ベンソン、デヴィッド・バーン、ジョン・ファディス、ジョバンニ・イダルゴ、T.S.モンク、イドリス・ムハマド、マニー・オケンド、デイブ・パイク、ティト・プエンテ、シャーリー・スコット、ウディ・ショウ、ルー・ソロフ、スティーブ・ターレといったミュージシャンのアレンジを担当するなど引く手あまた。
2000年代には、クリス・ロジャース、ジョー・マグナレリ、サム・バーティス、ボビー・ポルセリ、ボブ・フランチェスキーニ、オスカー・エルナンデス、ルーベン・ロドリケス、ヴィンス・チェリコ、スティーブ・ベリオスをサイドメンに迎え、自身のアンサンブルを率いました。お聴き頂くのはその彼のグループによる、ウエイン・ショーター作曲の「マジョーン(麻雀)」。そしてモンゴ・サンタマリア・バンドでの1963年のヴィレッジ・ゲートでのライブ盤から「エル・トロ」をお聴きください。
6. Mahjong / Marty Sheller from "Why Deny" (2008)
https://youtu.be/AkgVrk-eKXc
Chris Rogers, Joe Magnarelli, Sam Burtis, Bobby Porcelli, Bob Franceschini, Oscar Hernandez (p), Ruben Rodriguez (b), Vince Cherico, Steve Berrios
7. El Toro / Marty Sheller from "Mongo at the Village gate/Mongo Santamaria(1963)
さて、本日最後の曲は来日アーティスト紹介です。
ウルグアイの巨匠、ウーゴ・ファトルソ(p)と日本の名手、ヤヒロ・トモヒロ(perc)のグループ、ドス・オリエンターレスの曲でお別れします。
8.Luces de Tokyo / Dos Orientales from "Orienta" (2013)
https://youtu.be/nj2k7j6FAAg
Hugo Fattoruso (p) Tomohiro Yahiro (perc)
10月は以上です。ありがとうございました!気に入った方はぜひ「スキ」(ハートマークのクリック)をお願いします!
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「世界はジャズを求めてる」は鎌倉FMで毎週木曜午後8時から1時間(再放送は毎週日曜昼の12時から)、週替りのパーソナリティが、さまざまなジャズとその周辺の音楽をご紹介するプログラムです。
進行役は、第1週が村井康司、第2週が池上信次、第3週が柳樂光隆、第4週がeLPop(伊藤嘉章・岡本郁生)、そして第5週がある月はスペシャル・プログラムです。
鎌倉FMの周波数は82.8MHz。
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