カンボジア支援 ~環境衛生の向上と動物との共存、人々の想いとは編~

カンボジアの支援の実態。カンボジアの人々の生活は支援によって豊かになっているのか。この目で見て感じたこと。まだ足りない支援とは何か。

【各国の支援】
 道路、港湾などのインフラ整備。物流網の強化、産業人材育成、農業振興などの経済社会基盤。保険医療や上下水道などの生活の質の向上。病院、学校の建設と運営。
 カンボジアは各国の手厚い支援を受け2016年7月には低中所得圏入りを果たし、その後も順調な経済成長を遂げている。首都プノンペンはビルが建ち並び発展していく中、一歩奥地に入ると…
             
▼カンボジアの紙幣500リエルに描かれているのは日本の支援で建設したキズナ橋。心の架け橋でもあるこの橋には日本の国旗も刻まれている。

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【シェムリアップ~山岳地帯】
 アンコールワットがあるシェムリアップでは、観光に来た人々に物乞いをする子供たちの姿がまだ残っている。痩せた野良犬、赤土の道。車で20分も走ると、そこは未撤去の地雷、Dangerの看板を多数目にする。その地雷を、毎日危険を顧みず撤去しているのは農民たちだ。山岳地帯の村からは病院までの道のりは1~2日かかり、バラック(トタン屋根の隙間だらけの家)や水上暮らしをする人々は食事もままならない貧しい暮らしが続いている。そういった場所の一番の悲劇は公衆衛生だ。汚れた水を飲み、汚物の管理もされていない。家畜の飼育環境も悪い上に、それらを衛生状態の悪い場所でさばき、食する。狂犬病による死者も後を絶たない。これらにより、感染症リスクという悪循環に陥っているのだ。
 発展、医療、学びと大きな支援にばかり目が行きがちだが、そこに暮らす人々にもう一歩寄り添うならば動物、家畜の衛生管理を整え正しい共存共栄へと導くことも、大切な支援なのではないかと僕は考える。
 支援の手が大きな事業から行われるのは仕方のないことなのかも知れない。しかし、これが「貧富の差」を生み出しているのは確かだ。

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【人々の想い】
 カンボジアの平均年齢は24歳と若い。何故か?カンボジアはポルポト政権により、知識人とみなされた人々の大量虐殺があったからだ。(医者、学者、語学が堪能な者、メガネをかけていて頭がよく見えると見なされた者、労働の役に立たない乳幼児、老人などが残酷にも棒やクワで頭を叩かれ殺されていった。)農作業ができる人のみが生かされ少ない食料で朝から晩まで労働させられた。そんな信じがたい悲劇が他の国に内密で4年間も続いた。しかも、たった41年前の出来事ということに驚きと悲しみと怒りが止まない。200万人ともいわれる尊い命がそこにはあり、生き残った国民の85%が14歳以下であった為、現在の平均年齢が若いのだ。 しかし、カンボジアの人々は、その悲劇のポルポトの洗脳から解き放たれ、次の時代をこう生きようとしている。

 あの時代はポルポトの支配により、殺す側か殺される側かの2つの道が自身の意と反して選択された。実は祖父を殺めた人物が隣の家で暮らしている。でも、今はそのことについて怒りを露わにすることはない。そういう時代で互いに仕方がなかったのだ。むしろ、その事実を子供たちが知ってしまったら折角の友情が崩れてしまう。子供たちは子供たちの絆で繋がれば、それでいいのだ。

彼らは今、懸命に希望の道を皆で歩みだそうとしている。そんな彼らを「貧負の差」という新たな悲劇の道に追い込んで良いのだろうか。僕は彼らが笑顔を失う姿は、もう見たくない。本当に手を差し伸べて欲しい所には支援の手は届かない。支援とは何なのか?考えるべきことはまだまだある。

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芝高等学校(東京) 中山 公太郎
#せかい部 ×SDGs探究PJ高校生レポーター(生物多様性を守ろう)
#せかい部 ×SDGs #貧困をなくそう #生物多様性 #カンボジア支援

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