SDGs 私たちに「今」できること ~グローバルとローカル~ BY 金子真也〔静岡県立島田工業高校〕#せかい部×SDGs探究PJ先生レポーター

〔自己紹介〕
金子真也(かねこしんや)
静岡県立島田工業高等学校勤務
教科:保健体育(専門=バスケットボール)
新規採用から4年目(26歳)
高校3年生担任(都市工学科)

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1 特別授業に至る経緯
教員4年目が終わろうとしている「今」、
担任として、授業担当者として、学校で学ぶ生徒たちが抱える課題が見えてきました。

ⅰ 学びが実生活に結びつきにくい
ⅱ 夢がなかなか見つからない

以上の2点が挙げられると感じ、課題を解決する糸口はないかと模索をはじめました。

そこで
コロナ禍でも実施可能であり、
都市工学(土木)、建築(設計)を学ぶ高校生に適したプログラムとして
トビ立て留学JAPANと文科省主催の「#せかい部×SDGs探究」を発見しました。
概要を見て
「これは面白そうだ」と感じました。
なぜなら、
環境や生物多様性にも配慮するなど、グローバルなビジョンをもった技術者を目指すことで、日常から物事を見る視点が変わり、課題の解決につながると感じたからです。

つまり、
生徒たちが現在学んでいる「まちづくり」と
「今」世界で起きている問題を同時に考え、未来を創造する学習体験ができると確信しました。

2 そもそもSDGsって?
問題です。
「約7人に1人の子どもが貧困に直面しています。どこの国でしょうか?」

A,日本です。

日本の貧困率は13.9%
ひとり親家庭の子どもの貧困率は50.8%(厚生労働省「平成28年国民基礎調査/貧困率の状況」)
OECD加盟国(35か国)の中で最低レベルです。


これは1つの例でしかありません。
「今」世界では子どもの貧困をはじめ、環境破壊などさまざまな問題が起こっています。
それらを解決するために
2015年に国連で掲げたものが「持続可能な開発目標 ‟SDGs„」です。
17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

(私もこの企画に応募するまでは恥ずかしながら‟SDGs„を知りませんでした。)

3 授業内容
アメリカ・オレゴン州で、まちづくりを研究している日本人の建築家の方に、Zoomを通じた授業(50分間)を行っていただきました。(建築科・都市工学科の3年生 合計78名が対象)

講義をして頂いたのは、ポートランド州立大(PSU) 建築学部のシニアフェロー、柳澤恭行先生です。

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ポートランド州は「全米で最も住みたい街」と言われています。
主題は「その街の住みやすさは何から生まれているのか」でした。

この主題を事前授業で生徒に問いかけたところ
「便利だから!」「ハイテクそう!」と答えた生徒が多くいました。
正直、私も生徒と同様な考えを持っていました。

しかし、
ポートランドのまちづくりは全く違ったものでした!

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一言でいうなら
「主体性」と「不便さ」です。

住民が「街に自然が欲しい!」「屋外で憩いの場となる寛ぐ場所が欲しい!」と思ったら、高速道路を無くして公園を、立体駐車場を撤去してリビングルームを作るように行政に働きかけをしました。
また、環境や健康を考慮し、公道には自転車専用道路や自転車優先レーンをつくり「自転車の街」としても有名です。

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また、ポートランドの住民は、
Keep Portland Weird(変わり者で行こうぜ!)」をキーワードに
行政に金銭的余裕が無くて、道路やベンチの修繕ができない場合
できないから諦めるのではなく、
「自分たちで直しちゃえばいいじゃん!」と思考をプラスに転換させ
個性的で工夫を凝らしたデザインで修繕をしていました。

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つまり、
「全米で最も住みたいまち」の答えは
自然と調和しながら、
自分たちが住みやすい街を自分たちの力で手に入れること
でした。

4  受講した生徒の感想

◇この授業で「柔軟性」がいかに大切かということがわかりました。私たちの町にも素晴らしいところはあると思いますが、柔軟性に重点をおいたときには、ポートランドの考え方はとても納得のいくものだと思いました。特に未来についてのガイドラインの話で強く感じました。目まぐるしい速度で色々なものが変化していく今、柔軟な考え方が大事になってくるなと思いました。 〔都市工学科3年(男子生徒)〕 

◇今日の講義で、もう一度、人か住みたいと思う町は何なのかを考えさせられました。「便利な町=住みたい町」ではなく、そこに住んでいる人がどのような町にしていきたいかを、ひとりひとりがしっかり考え、それを実現させて行くために行動をする。これが大切なのだと思いました。 〔建築科3年(女子生徒)〕


5 終わりに伝えたいこと
私には、
この授業で一番頭に残っているフレーズがあります。

それは
「グローバルな視点でローカルに活躍しよう」というものです。

今回授業を受けた8割の生徒が4月から社会に飛び立ちます。
その中で、「世界の情勢を踏まえた広い視野をもち、地域発展のために従事して欲しい。」
そんな願いが込められた柳澤先生からのメッセージだと思います。
私は本当に感銘を受けました。


「今」時代は変化し続けています。

環境に適応し、自然や多様な価値観をもつ人々と調和しながら
「住み続けられるまちづくり」をし続けなればならないと生徒と共に再確認しました。


最近、『Society5.0』という言葉をよく耳にします。

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技術が進歩し、
社会が変わる中で
学校教育も変わり続けなければなりません。

教員4年目の未熟者ながら思うことは、
学校は変わることを嫌がる傾向にあるということです。
日本古来の大切な文化は大切にしながらも、
変わることを恐れない教員でいたいです。

また、
「国力は人口に比例する」
と、フランスの経済学者ストロスカーンは言っています。

大袈裟かもしれませんが、
私自身もこれからの日本を支えていく生徒と関わっている使命感をもち
グローバルな視点でローカルに活躍しよう」と思います。

最後に、
お忙しい中講師をしていただいた柳澤恭行先生、
さまざまなところでサポートをしていただいた文部科学省の桜木由美子様には本当に感謝しております。

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県立島田工業高等学校(静岡)金子真也(かねこしんや)#せかい部×SDGs探究PJ先生レポーター

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