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キャリコ・ザ・ラッキーは三度鳴く

三百年に一度だけ生まれるという雄の三毛猫、誰が呼んだかラッキー・キャリコ。そいつを見つけた人間には漏れなく幸運が訪れるという。金太郎飴みたいなテレビコメンテーター達が騒ぐにはその三百年の周期がどうやらそろそろらしく、巷は三毛猫グッズや三毛猫柄の服で溢れていた。その程度の浮かれ具合ならまだマシだが、近頃は三毛猫完全捕獲マニュアルとかいうヤバい本が流行り、この際雌でも三毛なら売れるとばかりにペットショップでも三毛猫だけが持て囃される始末。

「狂ってやがる」
「幸運ってのは、ただの結果論。だっけか?」

招福万来の文字が下品に踊る、おめでたくも薄っぺらい招き三毛猫のチラシ。そいつをひとしきり掻いて蹴って自分なりにいい感じにしたやつの上で香箱を作り、無毛猫スフィンクスのラッキーは飼主のタナカ少年に小さなあくびをした。

「だいたいよォ三毛猫なんつうのは……」
「お助けにゃあーーーー!!!!!」


【続く】

#逆噴射プラクティス #逆噴射小説大賞 #小説

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