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父の残したモノ

実家は「モノ」に溢れていた。
爪切りやハサミだけでも何個出てきたか…。
ナッツやテーマパークの缶や箱に詰め込まれた文房具。錆びたピンやクリップ。色の褪せたノートやメモ帳。少しカビの入ったカバンや小物入れ。
そんなモノたちがたくさんあった。

ので
「父の大切にしていたモノ」以外を手放した。

父の大切にしていたモノを残すため、
母はずっと執着していた服や布、カバンを
「ここに入ってるのを捨てて」と言い出した。

天秤にかけたのだ。
自分のモノと父のモノを。

モノに溢れた空間を兄と私で片付けた。
角のなかった家の中が、四角い空間になった。

父の遺影の入った仏壇と、
父の大切にしていたモノと、
母の今必要なモノになったら、

母が変わりはじめた。
デイサービスやリハビリで出かけている以外は
介護用のベットで寝ているのが常で
休みの日はパジャマ姿はあたりまえだったのに
着替えるようになった。

ベットで天井ばかり見ていた母が
TVを見ている姿に、
正直違和感を感じたほどだ。

80もとおに越えても、簡単に変われるんだね。

父が寂しがり屋の母に残してくれたものは、
母の余生を贅沢に過ごす空間と
そこに家族が集う場所のような気がする。

正月が楽しみだ。
早くこいこい お正月〜♪

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