先生は職業じゃなかったね

先に生まれる、と書いて「先生」というのは分かっていた。
かつて柔道整復師の専門学校の講師が言っていたから。

「あなた達はこの先『先生』と呼ばれるようになります。でも、先生とは“先に生まれる”と書きます。勘違いしないよう留めておいてください」と卒業前に言われた。

今思えばその講師はどういう意味でその言葉を言ったのか分からない。
今まで沢山の「先生」と呼ばれる人たちを見てきた。すごい人もいれば、あぐらを掻いている人も沢山いた。私は後者になりたくなくて、でも前者にはなれなくてもどかしい日々送ってきた気がする。

でも、よくよく考えてみたら、
当たり前だけど「先生」と呼ばれる人は同業者とは限らない。
代表的な教師もドクターも「先生」。
弁護士さんも、議員さんも「先生」と呼ばれる。

以前、姿勢セミナーの後の懇親会の時、講師の方に「先生」と呼んだら、
「俺、先生って言われるの嫌なんだよね」と言っていた。その時思わず握手を求めてしまい、大笑いされた。そりゃそうだ。こんなオバサンからいきなり熱い握手を求められたら、ビビるか、笑うかどちらかだろう…な、うん。
でも、その方は「立派な先生」だった。

私のお客さんに88歳のおばあちゃんがいる。
間違いなく先に生まれた「先生」で、そして「師匠」。

ご家族からは「なんの師匠?w」と言われてるけれど、私と2人でいる時はよく話してくれる。

今日も「この時代に置いていかれないように形を変えて、手に取るものを持ち替えていかないとね」と言っていた。

「それってとっても勇気いる行為だよね」と言うと
「そうだね、でも生きていくために必要なことよ」と、ぽそっと言っていた。

私は何か大きな事を成し遂げるような人間にはなれないけれど、この師匠のような「先生」になりたいと思った。

はじめて「先生」に憧れた日だ。


私は世の中から不定愁訴、慢性の症状で悩む人がいなくなってしまえばいい、と思ってます。

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