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Vol.16 終活のメリット 家族編

家族のためのメリット

終活の家族にとってのメリットは何でしょう。
これは、あらかじめ必要なことが決められている安心感と忙しい時の雑務の軽減にほかなりません。
経験された方なら、余計に感じる事ですが、家族が無くなった後は本当にやることがたくさんあります。
しかも待ったなしで事が進んでいきます。
その苦労をできるだけ無くしてあげましょう。

遺された家族の負担を軽減することができる

遺された家族にとっての大きなストレスは「本人に確認できない」事です。
亡くなってしまった場合だけでなく、本人への直接の確認ができない状況でも同様に分からないのが大変なのです。
「何がどうなっていて、どこに何があるのか」が分からない状況を、状況証拠から推測して確認する作業は正に名探偵登場と言った感じです。
そんなバカな、と思われるかもしれませんが、記憶と記録を総動員して様々な情報を整理しなければならないのです。
亡くなった後のスケジュールに関しては別項で述べますが、およそ1年の期間でさまざまな事をしなければなりません。
なかでも亡くなった後の3か月は本当に忙しく、「やらなければならない事」が詰まっています。
ただ、それらのほとんどが準備をしておけば、残された家族の負担は大幅に減るのです。

「立つ鳥跡を濁さず」は理想だけれど

確かに日々の生活の忙しい中で終活を進めるのは大変です。
それでも「立つ鳥跡を濁しっぱなし」ではなく「最後までキッチリしていたね」と言われたくありませんか?
自分のための終活ですが、と同時に家族の役に立てる最後の機会だと考えてみてはどうでしょう。
一人暮らしであれば「必ず誰かのために役立つ」と考えてみましょう。
少しはモチベーションが上がるのではないでしょうか。
「それは理想だけれど、すんなり進められるほど器用じゃないし」と思われる方も多いと思います。
私もそうです。整理整頓できないカオスのような部屋が落ち着くし、面倒なことは先送りにしがちです。
とは言え、やらなければ終わりませんから、少しでも楽をして終活できないものかと考えました。
そこで始めたのが「モノのありかを明確にする」ことです。
言い方は仰々しいですが、つまり整理は後回しでも「どこにあるか」だけは分かるようにしたわけです。
具体的に言うと、空き箱を用意して必要なものを中に入れただけです。
通帳、いろいろな契約書、ハンコなどなどを箱に放り込んだわけです。
郵便物などもその中に入れました。
とりあえずはこの箱を探せば情報入手の手掛かりはある、という状況です。
整理ができる人からすれば「入れると同時に整理して記録すればいいじゃん」なのですが、私は普段から整理できない人なので、ハードルは地面スレスレに設定しなければなりません。
次のステップで自分の気分を盛り上げて、それらの整理に入るわけです。

遺産相続などのトラブルを防ぐことができる

亡くなった場合のタイムスケジュールとしては、当日から翌日に病室の片づけと病院などの支払い、その後に葬儀があります。
仏教の場合だと概ね通夜の翌日の告別式があります。宗派によりますが繰り上げ法要として初七日の法要を葬儀と同時に行うことがあります。その後の四十九日法要があり、そこから3か月と少しで百箇日の法要と納骨があります。それと4か月以内に準確定申告を行い、10か月以内に相続税の申告を行います。そして1年後に1周忌の法要があります。2年後の三回忌の法要で一段落といったところでしょうか。
ここでの問題は4か月以内の準確定申告と10か月以内の相続税の申告です。
4か月以内の準確定申告は、その年の1月1日から亡くなった日までの所得税やそのほかの税額の申告と納税なので、言ってみれば清算するだけですから、場合によっては税金が還付されることもあります。
さらにそこから6か月以内に相続税の申告を行わなければなりません。
先ほど準確定申告で還付金があった場合、その還付された税金も相続資産に繰り入れる必要があったり、死亡保険金があればその計算もしなければなりません。
相続のところでも書きましたが、すべての財産を金銭に換算する必要があります。
場合によっては遺産分割協議書の作成が必要となり、話し合いがもたれることになります。
順調であったとしても6か月はあっという間に過ぎていきます。
その際に遺言書や遺産の分配に関しての話し合いがなされていれば問題ありませんし、それに沿った遺言書があれば手続きは順調に進むことでしょう。

遺産相続は遺恨を残すことがある、だからこそ

しかしながら全てがスムースに済むとは限りません。ドロドロの相続問題など枚挙にいとまがないと言えます。
私の場合も土地の名義が、すでに亡くなっている祖父のままだったことが問題になり、家族会議が招集されました。最終的には一番年嵩の叔父の「一番大事な事は、残された家族が幸せになることだ」の一言で収まりましたが、とは言えタダでは済まなかったことも確かでした。
それでも、その後も良好な関係は続いていますし、4年後に母が亡くなった時も親類の皆さんが親身になってくれたことは、本当にありがたいことでした。
そのような良好な関係を、すべて壊す可能性があるのが遺産相続なのです。
そうならないように、特に資産を多く持たれている方は早めの終活が重要になると考えましょう。

家族の顔を思い浮かべたり、誰かの役に立てることを考えたりしながら終活を行うのは楽しいですよ。

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