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他メンバーと協力して取り組みを進めるときのポイント

この記事は何なのか

同じ組織や、違う組織の他メンバーと協力して取り組みを進める際のコミュニケーションや段取りで気をつけるポイントをまとめてみました。

なぜ気をつけるポイントを学ぶ必要があるのか

情報ギャップによって難易度が上がるから

一般的に、
・横(部署)が遠くなればなるほど
・縦(レイヤー/役割)が遠くなればなるほど
業務を一緒に進める難易度が上がります。

業務を一緒に進める難易度

なぜ難易度が上がるかというと、情報ギャップが存在するためです。情報ギャップとは、お互いが共通して知っている以外の情報、つまりどちらか片方しか知らない情報のことを指します。

例えば同じ部署のメンバーであれば、普段行っている共通の業務に対する知識や、その業務で発生する困りごとはある程度近くなります。しかし、違う部署のメンバーであればお互いの業務についてぼんやりと知っていても、具体的な手順までは知らなかったり、その業務において何に困っているか・何が大変かという点は十分に理解できていなかったりします。

役割/レイヤーが異なる場合も同様で、ある部署のメンバーが達成したいことや直面している課題と、経営陣が達成したいことや直面している課題は(当然両者に繋がりや一定の関連性はありますが)異なっており、情報ギャップが存在しています。

情報ギャップ


情報ギャップの広がり

ただし、同じ部署の同じメンバーであれば情報ギャップが存在しないというわけではありません。特にあなたが主体者となって何かの取り組みを推進する立場にある場合、あなたと他メンバーの間には確実に情報ギャップが存在しています。

最も大事なことは、情報ギャップを把握したうえで、双方がそのギャップを埋めるために努力/工夫することです。特にあなたが主体者・推進者の立場であれば、その努力や工夫を最初に行う必要があります。

1人よりも工程の多く、リードタイムが長くなるから

1つの業務に関わる人数が増えると、基本的には工程が増え、リードタイムが長くなります。よって1人であれば力技でできた遅れのリカバリーもそう簡単ではなくなります。

例えば、「資料を作成する」という業務があったとします。1人で資料を作成する場合は自分自身で情報を整理して、資料化すれば問題ありませんが、複数人で資料を作成する場合は、
・全体スケジュールを決める
・資料の目的を伝える
・他メンバーが作成した資料にフィードバックをして修正してもらう
といった工程が少なくとも発生します。

工程・リードタイム

適切にコミュニケーションをとって取り組みを進めることで、当初の目的や納期を守ったまま、良いアウトプットの実現に繋がります。逆に、段取りやコミュニケーションが適切でないと、納期を遅らせずに良いアウトプットを実現することは困難になるのです。

各プロセスで気をつけること

全体スケジュールの策定・役割分担

・最初の着手を早くする
1人で行う業務でも大事なポイントですが、2人以上で進める業務では早期に着手することの重要性が増します。 最終的な納期に対して日程的な余裕がどれだけあるのか、またイメージしている段取りで不足がないのかを把握することで、後からバタバタと他メンバーに短納期での対応をお願いする状況に陥ることを防ぎます。他メンバーもそれぞれの忙しさがあるので、短納期の対応自体が難しくなってしまう可能性もあります。少なくとも大まかな全体スケジュールの設定だけは、早い時期に行いましょう。

・全体スケジュールを設定する
前述の通り、2人以上で進める業務では工程が増え、リードタイムが長くなります。最終ゴールまでにどのような工程があるのか、またそれぞれの工程にどれくらいの日数が必要なのかを可視化するために全体スケジュールを設定しましょう。箇条書きで整理するだけでも良いですが、他メンバーと全体の進捗を共有しながら進める場合には、ガントチャートも有効です。

・他メンバーの対応期間にはバッファを設ける
着手すれば1時間で終わる依頼内容でも、依頼したスケジュールで他メンバーが1時間確保できるとは限りません。それぞれ忙しさのタイミングは異なることを前提に、他メンバーの対応期間にはバッファを設けましょう(個人的には+2営業日あれば心理的負担が下がるという感覚)。全体スケジュールの都合上、バッファが設けられない場合にはそもそもの依頼内容を工夫することも検討します。(後述)

対応業務の依頼

・情報ギャップを埋めるためのコミュニケーションをとる
対応業務を依頼する際には、特に前述の情報ギャップを埋めることを意識する必要があります。

▼目的を伝える
この取り組みを通して、何を実現しようとしているのか目的を伝えましょう。目的が理解されていれば指示が不足していた箇所でも目的を汲み取って気づいてもらえたり、より精度の高いアウトプットを得られたりすることに繋がります。


「今回の取り組みの目的は、アップセルが発生しやすい顧客のセグメントを特定することによって、アップセルの受注効率を高めることです。」

▼この取り組みによって最終的に得られるメリットを伝える
目的とセットで伝えることが多い点ですが、最終的にどのようなメリットが得られるのか(または得ることを狙っているのか)を伝えましょう。特に協力をお願いするメンバーに直接的なメリットがある場合は忘れずに伝えます。


「この取り組みよって、皆さんそれぞれが行っている提案対象顧客の選定に対する時間の削減に繋げることを狙っています。」

▼最初に依頼内容を端的に伝える
目的を伝えたら、依頼内容を端的に伝えましょう。いきなり具体的な手順の説明から入ってしまう場合がありますが、依頼内容を最初に端的に伝えることで、聞き手のストレスを減らし、スムーズに進行することができます。


「今回は各案件において不足しているデータを入力することをお願いしたいです。」

NGな例
「(上記を伝えずに)このスプレッドシートを見てもらうとA列に◯◯の情報、B列に◯◯が入っていますが〜」と話し始める

▼全体像・全体スケジュールを伝える
工程が複数のステップに分かれて進む業務や、長期間で取り組む業務については全体像・全体スケジュールを伝えると他メンバーは動きやすくなります。それほどステップが多くない業務では、このポイントは割愛できます。

▼既知情報の説明に時間を割きすぎないようにする
コミュニケーションは情報ギャップを埋めることに優先して時間を使うことが望ましいですが、逆に他メンバーにとっても既知の情報についての説明に時間をかけすぎることも避けましょう。特にMTGなど時間を同期するコミュニケーション手段を使うときに強く意識する必要があります。

・コミュニケーション手段を選択する
リモートワーク環境下では、主なコミュニケーション手段として以下が想定されます。

・テキスト(Slack上でのメッセージなど)
・⁠資料
・全体MTG(関係者を全員集めて行うMTG)
・個別MTG(関係者の中でも少人数を集めて行うMTG)

これらのコミュニケーション手段を、状況に応じて選択したり組み合わせたりすることで、前述の様々な情報をより確実に届けることができます。下記はその判断につながる状況の一例です。

コミュニケーション手段の特性の例

・(特にバッファを設けられないときは)依頼内容や事前準備によって他メンバーの負担を軽減する工夫をする
依頼内容や事前準備によって他メンバーができる限り工数をかけなくて良いように工夫しましょう。基本的にいつでも推奨されますが、特にスケジュール上他メンバーの作業期間にバッファを設けられないときはより推奨されます。

・メンバーごとにスプレッドシートのフィルタを作成しておく
・スプレッドシート上の選択項目は入力規則を適用する
・選択肢の定義はSlack上だけではなく作業用のシートにも記載しておく
・他メンバーの作業に関係ない列は非表示にしておく(情報量が多い場合)
・テキストではなくスタンプだけで回答を得られるようにしておく(①、②、③と選択肢に数字を振るなど)

・期日の前にリマインドをする
依頼していた業務の期日が近づいてきたらリマインドを行いましょう。依頼内容のボリュームにもよりますが、当日にリマインドされてもどうにもならないような業務の場合は、1〜2営業日前にリマインドを行います。また、他メンバーの中に休暇を取得する予定の人がいることがわかっている場合には、更に前倒してリマインドしましょう。

自分自身がリマインドすることを忘れないようにするには、リマインドすることをToDoリストに入れておくか、依頼した際のSlackメッセージを「後でリマインドする」機能で他メンバーにリマインドする時間帯に設定しておきましょう。

フィードバック・すり合わせ

・フィードバックをする際には、なるべく理由をセットで伝える
情報ギャップを埋めるために、「なぜそのように判断したのか」を伝えると、すり合わせスピードがより速くなります。
もし自分が迷っている点があれば、率直に「◯◯という点で迷っています。なぜなら〜」とフィードバックをしましょう。その迷いを解消するような回答が得られる可能性があります。

・テキストや資料上では読み取れない、フィードバックが伝わらない懸念があれば直接話す
「コミュニケーション手段を選択する」と同じですが、直接会話することを避けないことを心がけましょう。特に、テキストのやり取りでは伝わりにくかったり、資料上では意図が汲み取りきれなかったりするような懸念がある場合は、早々に直接話すことで全体のスピードを落とさずに進めることができます。Slackのハドルミーティングなどで5〜10分ライトに話すのがおすすめです。また、このようにライトに時間を合わせて話す場合、
・話したいほうから時間を提示して会話可能か確認する
・何について話したいかを簡単に(1文でも可)伝える
ができると、相手が忙しい場合でも優先度を判断してスケジュール調整しやすくなります。

取り組みの完了後

・期待していた成果やメリットの結果を共有する
依頼前に取り組みの目的やメリットを伝えたのと同様に、その結果がどうだったのかを関係者に共有しましょう。この共有があることで他メンバーは単なる作業者ではなくプロジェクトの一員であったことが実感され、取り組みにおいて自分を当事者として捉えることができます。次回に向けた改善案のアイデアを共有してもらえる可能性もあります。

・改めて感謝を伝える
依頼していた業務を対応してもらった後にも伝えていると思いますが、上記の全体の成果を報告する際に、改めて感謝を伝えましょう。

普段からできること

前章では業務を依頼する際に気をつけることを紹介しましたが、日々の業務からできることもあります。

・他者に関心を持ってコミュニケーションをとること
同部署の他メンバーや、他部署のメンバー、他のレイヤー/役割の方に関心を持ってコミュニケーションを取りましょう。具体的には
・どのような業務をしているか
・どのようなミッションやKPIを担っているのか
・何に困っているのか
・どのような情報を探し求めているのか
といったものです。

このような情報のキャッチアップができているほど、情報ギャップを埋めるためのコミュニケーション精度が上がります。 Slackのやり取りから読み取ることもできますし、オンライン/オフライン問わずコミュニケーションをとる機会を増やすことで担保できます。

・他の人の進め方を参考にすること
自分以外の誰かが、他メンバーを巻き込んで取り組みを進めている際のコミュニケーションのとり方や依頼の仕方などを参考にし、自分の引き出しに追加しましょう。

まとめると

細かいポイントをいくつか紹介しましたが、結局のところは
・自分と他者は違うという前提で
・相手の立場や見ている景色を想像して
・ギャップを埋めるための手段を選択する
ということが重要になります。

どんなに思考を尽くしても100%完璧なコミュニケーションを取ることは難しいですが、上記のスタンスさえ持っていれば大きく間違うこともないと思われます。

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