プロダクトマネジメントにおける「過去」「現在」「未来」
プロダクト開発における「マネジメント」とはいわゆる「プロジェクト・マネジメント」だけに留まらないあらゆる取り組みが含まれる。ざっと考えるだけでも「進捗管理」「振り返り」「プロダクト・ディスカバリ」「データ分析」などなど、やるべきことは山のようにある。
時間軸ごとのマネジメント
山のようにあるあれこれを、とりあえず分類しやすいように「過去」「現在」「未来」の時間軸で整理してみる。
人によっては「データ分析は過去軸じゃない」とか「1on1は未来に向けてのものだろ」みたいな意見はあると思うが、とりあえず自分は上記のように解釈している。
どこにどれだけ時間を使うか
このような分類をしてみると、自分の普段の作業の比率が見えてくる。もし過去、現在、未来で自分の1日(あるいは1週間、1ヶ月)の比率が1:8:1だとしたら、足元の作業に時間を取られて過去や未来のことを考えられていない可能性がある。もちろん、足元の作業をすることだけがマネージャとしてプロダクト成長に貢献する方法ならば問題はないが、未来を考えないマネージャというのもなんだかな… という感覚がある。
究極的には「マネージャとしての自分は何に時間を使うべきか?」という意思の問題でもあり、現状に対して差分を何も感じられないとしたらまずは自分自身の意思を見つけ出し固めるところから始めるのが望ましい。たとえば、開発現場に近いマネージャであれば、開発メンバーの進捗管理であったり、プロジェクト自体の状況把握をする時間は確実に必要であり、この時点で「現在」の比率がゼロになることはありえない。ゼロということは、開発組織が充分自律して開発を回せているか、逆にマネージャとしての自分が何も役に立てていない(マネージャとしてやるべき業務が開発メンバー側に押し付けられている)のどちらかだと思う。このような現状の良し悪しを判断するためにも意思は欲しい。
組織における比率
もう少し視点を広げて見ると「組織全体の比率」でさらに観点を得られる。もし所属が開発組織であれば、大部分の実装作業や設計作業をするメンバーにとっては「現在」の比率が高いはずであり、翻ってマネージャは必然的に「未来」と「過去」の比率を上げるほうが望ましくなる。でなければ、誰も未来を考えない/過去を振り返らない刹那的集団になってしまう。だが、未来比率100%の人が充分組織にいるならば、同様に現在100%の人がいることはおかしいことではない。組織の中で誰がどの時間軸にどれだけ時間を使っているかによって「自分はどの時間軸に振るべきか?」が自ずと見えてくる可能性もある。
「組織全体にとっての比率は2:1:7でやっていこう!」というような限りなく未来の比率が高い状態を作る場合には、マネージャだけではなく今度はメンバーレベルにも「未来」の時間を作らなければいけない。これを実現するためにマネージャはメンバーレベルの「現在」の時間比率を削減したり、自分たちの「現在」の比率を削減する取り組みをすることになる。これを実現するための具体の方法は設計やツール/フレームワークなどのエンジニアリング的な観点のものだったり、プロセスやコミュニケーションパスを見直すものになったりすると思われる。
個人的な考え: 未来比率の重要性
極めて個人的な意見ではあるが、基本的にマネージャをやっていて未来の比率が1だとか2だとかになるのはありえないような気がする。ありえないというか、そうではあってはいけないというか。
未来のことを考えるというのは基本的にビジョナリーである必要があると思うし、まがいなりにもある程度の人数のメンバーを率いているということはマネージャはビジョンを伝達する役割でないといけないのかな〜とも。とはいいつつも、特にミドルマネージャだと現場が忙しいことも多く現在の比率が高くなりがちなところはあり。そのような時間の使い方を変えるため(=未来を考える時間を作るため)にITエンジニアならば技術を用いて改善を進めていくべきなんだろうな。
…というようなことを以下の記事で紹介した本3冊を読んで思いました。
サポートして頂けたら... ちょっと贅沢してコンビニでスタバのカフェラテを買おうと思います。