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歌舞伎揚 桜抹茶味 ぷち(天野屋) 評論 〜カブキモノ世界紀行〜

袋を開けると、信じがたいことに『おさつスナック』の香りがした。


ぷちサイズの歌舞伎揚、それを口に運び、噛んでみる。

信じがたいというか、南方アジア,中東,アフリカなどの地域の、食べ物の風味がするぞ?! そして、注意深く燻らせていくと、それがイエローブラウンから、緑茶系の焙煎香…→抹茶のグリーンノートへ…と変遷していく。カレー系フレーバーの料理か何かでも食べたような感覚なのだ。何だこれは⁇ もはやミステリーである。

その間でも、歌舞伎揚の濃密な甘辛さは、フレーバーともつれ合いながら続き、特殊だが、どちらかといえば明らかに美味なのである。


今度は、詳細に味付を確認するために、舐め転がしたのち、エキスの吸引もしてみる。

なるほど、梅系の風味・酸味が感ぜられる。そして、微かに桜の風味もする。桜花の塩漬を乗せたあんぱんとか、大体そういう部類の体験というか?

梅と桜は同じくバラ科の植物であり、近縁性があるので、この連関は道理である。原材料を見たところ、特別に酸味を足すものはなかったので、これは醤油の酸味に、梅系の風味が重なったための感覚だろうか。(醤油はpH値がけっこう酸性の液体なので、塩味以外にもわりと酸味がある)


通常の歌舞伎揚のように、赤みのある茶褐色系の味わいが強い感じがない。

茶色はあるが,黄色,緑色,ピンクに近いような赤…といった色調が強い感じ。ここまで味わうと、袋を開け嗅いだ時の、サツマイモやバター系の食物の、つまり黄色系と近隣の風味とも、一体感を受けられる。


直近で最もサプライズのある体験の1つであると同時に、繰り返しだが美味性の体験を得られるものでもあった。

和に傾いたコンテンツかと試してみたら、思いもよらぬミステリー世界の紀行となった。

しかして和の言葉で言うなれば、まさにお菓子界における『傾(かぶ)き者』であった、といったところだろうか?

天乃屋さんの歌舞伎揚シリーズは、アベレージが高いとは思っていたが、面白い認識の変転であった。


以上!

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