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イッテンの色彩論-三つの観点-

ヨハネス・イッテン(1888-1967)は、スイスの芸術家であり教育者でもあった人物で、色彩の話では必ずという程出てくる。

0.色彩の三つの観点 by イッテン

イッテンは色彩論を以下の3つの観点から説明した。

1.印象(視覚的)
2.表現(感情的)
3.構成(象徴的)

たとえば、「緑」という色を用いる場合、

1. 緑が「地味目」(印象)だから
2. 緑が「安心する」(感情)から
3. 緑が「自然を象徴する色」(象徴)だから。

ちなみに、色には、「心理的、生理的、感情的、文化的」な影響があるといわれている。これと上の3つも絡めて考えたい。

1.印象(視覚的)

視覚的というのは、その色に対して「思うこと」と言い換えられるかもしれない。

他の言い方なら、「観察してみると、、」ということである。

赤を見て、「この色は目立つな、、、」とか思ったら、それが印象。私たちは常に多くの色を見て、無意識にそこからの印象を想起しながら生きている。暖色を見たら暖かそうに感じるし、寒色を見たら寒く感じる。

色の影響としては、心理的、生理的影響が該当するといえる。

2.表現(感情的)

感情的というのは、その色を見ると自分が「どうなるか」ともいえる。

赤を見て、自分の気持ちが「昂ってきた」としたら、それがその色の感情的な側面ともいえるだろう。

黄色を見ると明るい気持ちになったり、青を見ると落ち着いたり、緑を見ると安心したりなど、その色によって受ける、感情的な影響のことをいう。

3.構成(象徴的)

象徴的というのは、その色が「何を意味するのか」ともいえる。

赤を見て、それは時に日の丸を表しているし、リーダーとしてのアカレンジャーを表していることもあれば、トイレなどにおける女性を表すかもしれない。

そういった文化的に象徴されるものが象徴的で、影響としては、文化的影響が大きいともいえる。

まとめ

色について考える時、その色が他の色と調和しているかだけでなく、「その色を人がどう見るか」といった観点にも着目すると、場面に適した色を用いることができそうである。

その際に、「印象、感情、象徴」の観点から色について考察するといいのかもしれない。

とくに、サービスのブランドカラーなどの色彩提案をする際には、色を通して伝えたい側の意図をヒアリングすると同時に、その色が受け取り手にどういった捉えられ方をするかといった点も考慮する必要があるため、イッテンの3つの観点は、そういった場面で整理する際に大いに参考になるものである。

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