Icecream!!!
【現在】
エンディングの続き。
楽しそうに歌う声が聴こえる。
曲は『僕が僕であるために』。
◯古屋家・居間 夜
【過去】
歌を途中で切り上げた磊がお菓子のマイクをカンタに渡し、界の方へ行く。
カンタは長髪のカツラを被り、『贈る言葉』をモノマネで歌い始める。
八千はカンタの後ろに行き写真を持ち、カンタのモノマネのモノマネをしている。
界、ホナカは2人を見て笑っている。
ノボウは寝転がりながら駄菓子を食べている。
リクは何か動画を観ている。
磊 「おら、ノボウさん邪魔」
ノボウを足蹴にする磊。
ノボウ 「む~おらのどこが。全然だろう」
喜ぶノボウは動かない。
リク、冷たい目でノボウを見ている。
磊 「きも」
リク 「Eww, he’s so weird」
ノボウ 「そんなこと言うなノー」
界 「ぼくもそう思う」
ホナカ 「引くわ~」
ずれよっていくノボウ。
リクはノボウを撮ってスマホをいじる。
界 「え? あ、違うよ? リクの意見に賛成──」
磊 「界、行ってこいよ」
界 「(向こうを見て)いや、磊が行きなよ」
磊 「お前髪型だけかよ。海援隊なのは」
界 「磊は金八じゃん」
磊の攻撃を避ける界。
界は磊に変顔で煽る。
磊 「なんだよその顔」
界は煽る動き、ポーズをする。
磊 「くそガキ!」
逃げる界、追いかける磊。
ホナカ 「可愛いなぁ」
ホナカ、後ろから界を捕まえる。
ハイタッチする磊、ホナカ。
界 「ノボウさん! …ダメだ」
ノボウ、羨ましそうに見ている。
リク 「He won’t help you, cause he is Nobou」
ノボウ 「リクちゃんは~、英語の時だけ呼び捨てなんだよねぇ~。そうゆうの好き」
リク 「Ugh! get outta here. ノボウさん」
ノボウ 「Hey, Hey, Heeeey」
磊とホナカ、界はノボウを踏んでいく。
界の足を叩くノボウ。
界 「なんで~」
ノボウ 「なんでだろ~お──」
磊 「兄貴がやってんだからお前もやるんだよ、ほら!」
界、2人に押し出されカンタの隣へ来る。
カンタは界と肩を組む。
逃げられなくなった、界。
みんなが注目する。
界、恥ずかしがりながらもモノマネで歌い始める。
すかさず八千が話し始める。
八千 「えー、この度も、父と母の十三回忌へ来ていただき、ありがとうございます。はい~」
カンタは界を慰めている。
額に入った写真を見せる八千。
カンタ 「お会いしたのも遠い昔~ではございますが、私は古屋家が好き~ですし、お世~話になったでありますから~。え~、当然でございます。ねぇ、磊~」
ホナカ 「うちにもさせろ~」
リク 「ホナカ。Do you remember?」
リク、ホナカにスマホの画面を見せる。
ホナカ 「あ、懐かしい。いつやっけコレ。あ! 磊が振られて、三人でカラオケ行った日やん。あの日めちゃ飲んだな。リクはカラオケの機材にうるさいし、磊は酔っ払ってずっとマイク通ってへんのに尾崎歌ってたわ」
磊 「ちょリク、ホナカやめろ」
リク、ノボウにスマホの画面を見せている。
ノボウ 「いい写真だなぁ」
【現在】
磊の写真を見つめている八千。
静かに父と母の写真の間に置く。
八千 「っしゃ! 界。磊どこ?」
界 「あぁ──」
八千 「どこだ磊~」
ぐるぐる回る八千。
磊 「当てずっぽうじゃん!」
ノボウ 「むっ! なんか声が聞こえた」
磊・界 「え!」
ノボウ 「ほらほらほら。私を助けてノボウさん~って」
八千 「私って言わねえだろ」
ホナカ 「せやしノボウさんにだけは言わんな」
リク 「(ヘッドホンを外して)何バナ?」
カンタ 「私怖いのニガテなんです」
磊 「♦︎彼女を怖いて」
界 「♦︎彼女を怖いて」
八千 「カンタ。お前の後ろにぃぃぃ!!」
カンタ、叫び、腰を抜かす。
爆笑する八千。
磊 「おい! 妹をユーレイ扱いすんな。や、ユーレイだけど」
八千 「界、ここに磊はいるんだよな? じゃあ生きてるってことぅ!」
磊 「バカだー」
界 「磊がバカだってさ兄ちゃん」
八千 「おいおいおい~。相変わらずじゃん」
磊 「そっちじゃねーし」
界 「兄ちゃん、ここ」
八千 「あ、そこ?」
磊と界、笑う。
【過去】
磊、界、ホナカ、リクが磊の癖で盛り上がっている。
界 「そうだ! 磊めっちゃ死語言う、父さんの影響で」
ノボウ 「へえ~よく死語ってるのね~」
磊 「おいおっさん、♦︎ぶち殺すぞ」
リク 「この前おばあに『バイビー』って言ってた」
ホナカ 「うちが見た時はJKに言ってた」
リク 「JKに言ったら犯罪」
磊 「なんでだよ」
リク 「パワハラ死語ハラ」♧
♦︎以降同時進行
八千 「ほら! ノボウさん、手伝って」
ノボウ 「テェ~老体には応えるから」
八千 「楽したいだけだろ」
ノボウ 「ロックマン」
八千 「意味ちげえし、ん、って言ってゆー」
ノボウ 「ゆ~~う体離脱~」
ホナカ 「磊、ほんまに殺るのはちゃうで」
♧ここから
カンタ 「やばじゃないですかダブルでハラスメント。ダブハラだ」
界 「どこの中東の言葉すか、兄さん」
カンタ 「兄さんって…早いですよーもう」
ノボウ 「ダブハラダ~。アブラカタブラ。アァ~にーさんNISAシーサーさー」
ホナカ 「なんや兄さんって!」
界 「言ってないの?」
カンタ 「婚約しました」
リク 「Wow」
ホナカ 「うち、知らんかったわ、ショック~」
磊 「僕から今日、みんなに言う予定だったのに! 界!」
界 「へ、ぼくのせいか?」
ノボウ、カンタに粉菓子を渡す。
カンタ 「ありがとうございます」
食べるよう促すノボウ。いただくカンタ。
すかさずくすぐるノボウ。吹き出すカンタ。
粉が磊に降りかかる。
磊 「カンタ、ノボウ!」
笑いすぎて呼吸困難になっているカンタ。
カンタ 「やめてください、もう涙が止まらない」
【現在】
八千 「あーやっぱダメだ」
磊 「兄貴…僕」
界 「兄ちゃんいっつもそうだよ約束破るんだもん。…たまには守ってよ、磊いるし絶対にそんな顔見せちゃダメだって。そんなんだから磊が帰ってきたんだろ」
八千 「どうゆう意味だよ。そもそもほんとにいんのかよ」
界 「はぁ? 何言ってんの? ここにいるって言ってんじゃん」
磊 「界」
界 「兄ちゃんが、兄貴がそんなこと言ったらダメだろ! 自分の家族の前で否定すんなよ! 磊が、どんな思いだと思ってんだよ…! 双子なめんなよ…!」
リク 「界!」
リクは震える界の肩に腕を回す。
リク 「きょうだいだろ。三人で、きょうだい、だろ」
磊 「界、僕の言葉をみんなに伝えて」
界、磊を指差し、そのままみんなに言う。
八千、そこへ向く。
みんなもそこを向く。
磊 「みんな、久しぶり」
界はそれを伝える。
磊 「……僕は、みんなに会わなければ良かった。ホナカのお喋りなとこが嫌いだし、リクはお音楽しか能がないし、ノボウさんはいい人過ぎだし、カンタのことも好きになんなければよかった。兄貴、界、父さん母さん、二回も、二回も…こんな思いさせるなら、僕は、生まれてこなければよかった」
界はにっこり笑うと話し出す。
界 「磊が…みんな愛してるぜベイベー。生まれてきて最高だった…!って」
カンタ 「磊! アイスに賞味期限はありません!」
八千 「なんだよそれ」
磊 「僕も、みんなを、愛す!!」
了
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