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あなたへ向けた日記 No.5

大人になった息子へ。

君はどんな大人に成長してるだろうか。
赤ちゃんの頃は、それはそれは可愛かった。世界一可愛いって、本気で思っている。
大人になった君は…きっと、父さんに似た、おじさんになってるんだろうな。

父さんは、君が産まれてから、強くなったような、弱くなったような、そんな感じがする。失うものを知った弱さだろうか。殺し屋は大切な人を作らないみたいな事かな。例えが下手だって?やかましいわ。

きっと子供のころ、学校で習っただろう。社会科あたりかな。新型コロナという病気が世界中で流行った時期がある。ちょうどその真っ只中、よりによってこんな時期に、ってときに、ふぎゃあふぎゃあと呑気に生まれてきたんだ。

もしこの子がコロナで失われたら。そう想像するだけで涙が出てくる。弱くなった。悲しそうに泣く父さんに、君はふにゃりとした無邪気な笑顔を向けてくれるんだ。何も知らない強さなのかな。とにかく、この子のためにも、頑張って生きねば。そう思う強さも同時に得た。

大丈夫だよ、と奥さんも笑ってくれる。君にとっては母さんだね。「こんなに幸せなんだもの。ウイルスだって入る隙がない」。無根拠に笑う強さは、母ならではなのかもしれない。美味しいご飯食べて、ゆっくり休んでね、と台所に立つ背中は、これもまた世界一頼もしい。

父さんは、ほんとうに、世界一幸せだと思う。
世界一は言い過ぎかな。でも、それくらい、幸せだと自負してる。

君と一緒にビールを飲みたい。母さんと家族みんなで団らんしたい。大きくなっていく君を、ずっと見ていたい。それまで死ねないと思うと、あるときふっと不安になったりする。

そんな簡単に死んでたまるか。超長生きしてやる。
面倒見てね。その代わり、めちゃくちゃ愛したるぞ。

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