見出し画像

Vol.19 睡眠、ダイジ

  こんにちは。現代文、地学、物理の講師をやっております、石原です。
今回は、受験生向けのブログにしては極めて無難なテーマであり、擦られ尽くされたであろう、睡眠について私の体験を踏まえて述べようと思います。結論としては当たり前すぎて書くのも憚れるようですが、睡眠は大事だということです。十分な睡眠をとることによるメリットについては、もう数えられないほど議論されてきていますので、万が一知らない人は調べてみて下さい。今回私が言いたいのは、睡眠を取らないとこんなに恐ろしい事態が待ち受けているぞ、ということです。
 皆さんは不眠症になったことはありますか?ほとんどの人はなったことがないのではないでしょうか。なったことがないならば少なくとも人並みに健康です。大変よろしい。不眠症というのは言葉そのままで、眠れなくなる状態のことですが、これに陥るとなかなかに大変なのです。
 私は受験生(浪人生)の10月から11月にかけての二ヶ月間、慢性的な不眠症に悩まされていました。この二ヶ月間での平均睡眠時間は1日あたり2時間と少しでした。どれだけ眠くて疲れていても、何故か眠れないという二ヶ月でした。そうすると何が起こるでしょうか。肉体的にも精神的にもかなり限界になりましたが、何より私を驚かせたのは、その二ヶ月の記憶がかなり薄い、ということです。薄いどころではない、ほとんど記憶がないのです。残っているのは睡眠記録と裏紙に書き散らした勉強の痕跡だけでした。普通の状態であれば、日々記憶が重なって増えていくものですが、その二ヶ月は空白がひたすらに積み重なっているような感覚でした。もともと私は記憶力に恵まれていたので、読んだものや覚えようとしたものを完全に忘れてしまうことなどまずあり得なかったのですが、この期間は、前日に解いた痕跡があるが何一つ身に覚えがない、ということがざらだったわけです。この二ヶ月で一周した数学の問題集も、読んだ英文もまったく頭に入っていない奇妙な期間だったわけです。言うなれば水道から流れ出てくる知識という水を、記憶という名前のザルで受け止めようとしていたのです。勿論ザルで水は掬えませんから、まったく記憶に残っていないわけです。この期間、何度も友人に病院に行くことを勧められましたが、「病院に行って病気が見つかったら困る」という意味不明な主張を全面に押し出して頑なに病院に行かなかったわけです。
 さて、ここで教訓としては、もし不眠症に陥ったら自分でなんとかしようとせずにすぐに病院を頼れ、ということです。これを肝に銘じておきましょう。数ヶ月を虚無に放り出したくないならば。
石原

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?