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イスラム教の論理 3

飯山陽氏の「イスラム教の論理」2018.2新潮新書 のまとめの3回目、今回はイスラム国(IS)などのイスラム過激派の主張、聖戦(ジハード)などについてです。ジハードを行うイスラム教に、世界中で日々少なからぬ人が自主的に入信する要因はどこにあるのでしょうか。

ISの主張

ISの主張は正当なイスラム教

・IS(Islamic Stateイスラム国)の主張(理想)は、コーラン、イスラム教の教えそのもので、イスラム教として正しい。世界の18億人のイスラム教徒の理想である。
・イスラム教の理念の体現者であるISが支配する土地はイスラム教の理想郷(ヒジュラの対象地)。
・ISの黒い旗「アッラーの他に神なし、ムハンマドは神の使徒」は、イスラム教の信仰告白の文言であり、イスラム教徒がこれを否定することはない。
・イスラム教徒の手にコーランがある限り、敵への攻撃は続く。

・アッラー(イスラム教の神)は全知全能の唯一神(イスラム教こそが最も純粋で完全な一神教)であり、コーランは全人類に与えられた最高で最後の聖典「神の言葉」、一言一句すべてが不変の事実。

・神の法(イスラム法)は、神が人間に恩恵として与えた導きである。ゆえに、神の法は人間の産物である民主主義に優越する。
・神の法が世界を統治する日が必ずくるように、全知全能の神は世界を創造した。ジハードによって全世界が神の法統治下におかれることは、イスラム教の最終目標、すなわち確定された未来。
・イスラム教を、従来の国家、地域の枠組みを超えた地球規模に拡大し、イスラム教が世界宗教になることをめざすもので、いわゆる「グローバル化」とは異なる。

・体制派穏健イスラム法学者は近代国家を正当化するが、国境、国民国家、民主主義は、人間によって設定された産物にすぎない。イスラム教の教義に忠実であれば、それらは、神の前に無意味。
・世界をイスラム教の価値観(尊崇する絶対的神が実現に向けて尽力するよう命じた理想)に収斂する。
・神の命令に従って、異教徒の多神教の象徴である遺跡、偶像、教会などを破壊する。これらは、キリスト教住民との紛争回避のため、また、社会全体の利益と考えられて残されてきたが、本来のイスラム教に反している。

・インターネット上で様々な映像(勇敢な戦い、自爆などのジハード、背教者や不信仰者に対する斬首など法定刑の執行、喜捨の実施と分配、勧善懲悪の原則に基づく監督業務の実行)を公開することで、神が命じるままのイスラム法の統治が可能なことを示し、ISの正統性を証明している。これによって、イスラム法を行っていない世界中のイスラム教徒に、イスラム法にのみ従い生き死ぬべきという教義に覚醒し、ISの仲間になることを呼びかけ続けている。
・目指しているのは世界制覇であり、中東地域に領域国家を建設する意図はない。(したがって、2017年の2大拠点消失(イラクのモスル シリアのラッカ)は些細なことに過ぎない)

カリフ制

・1924年に最後のカリフ(神の法によって世界を一律に統治する者、全イスラム教徒の政治的指導者)が退位後、カリフ不在とヒジュラ(イスラム法によって統治されている土地)がないという異常事態が続いていた。
・2014年にアブーバクル・アルバグダーディーがカリフ制を再興、イスラム国(IS)樹立を宣言した。
「神が我々を創造した目的を実現するには、神の法による統治と司法を実施し、法定刑を執行しなければならない。そのためには権力者(カリフ)が絶対に必要である。…至高なる神はジハード戦士たる同胞たちに勝利をもたらした。…そして、戦士たちは私を彼らの指導者として選んだ。これ(カリフ選任)はイスラム教徒の義務であるが、長らくそれを怠ってきた。…カリフを軽んじ、あろうことか廃してしまった。…ようやくカリフ制が再興された。神に栄誉あれ。そして、私がこの偉大なる職責を担うことになった。これは私に対する信頼のたまものである。まさに重責である。私があなた方を率いることとなったのだ」
「私が神の教えに従う限り私に従えばよい。もし私が神の教えに背くならば私に従う必要はない」
「コーランをよく読み、理解し、コーランに従って行動しなさい」

・多くのイスラム教徒が、カリフ制に賛同する。
・スンナ派(多数派)、シーア派(少数派)は、過去の歴史の中で、カリフ(共同体の指導者)の選出に関連して発生した派閥。

奴隷制

・IS機関紙2014年10月「不信仰者の家族を奴隷とし、その女たちを性奴隷とすることは、確固たるものとして立証されたイスラム法の一側面であるということを忘れてはならない。このことを否定したり嘲笑したりする者は、コーランの章句とハディースを否定、嘲笑する者であり、それによってイスラム教から背教する者である」 なぜなら、イスラム法は神が下した完全無欠の法で、法の完全性は神の完全性に由来する。イスラム法の欠点や間違いを指摘することは、神に欠点、間違いがあると主張することになるゆえに、絶対に禁じられている。

・女奴隷のいない状態は姦通の増加を招く(イスラム法における女奴隷は、自由人女性と結婚できないイスラム男性にとって、神から許された代替物)
・イスラム教男性が自由人のイスラム教女性と結婚するには婚資(その女性が5年~20年暮らせるくらいの金額)を支払わなければならないが、女奴隷の場合はその半分程度。

IS以外のイスラム過激派組織

・神の命令に従い、「人間中心」の世界にかわって、「神中心」の世界を構築するべく、武器をとって全世界を敵にまわす勢力が、ISのほかにも活動中。

・エジプトの「ムスリム同胞団」は、2011年エジプトの民主化革命「アラブの春」後、1年間政権を担い、民主的選挙を実施したが、民主主義を奉じたのではなく、イスラム法による統治の実現と拡大という至高の目的達成のために小悪を許容した策略。最終目的はISと同じく、イスラム法による統治を全世界に拡大させること。
・イギリスの「ムハージルーン」は標準的イスラム過激派(民主主義、自由主義、世俗法など現代世界の制度、概念はイスラム教に反するので、これらがはびこる世界を修正するために、カリフ制を再興してイスラム法を施行しなければならない、と主張)で、多くのイギリス人がIS入りし、ロンドンで2013年イギリス兵士殺害、2017年大規模テロなどが発生。
・アラビア半島の「アルカイダ」
・ソマリアの「シャバーブ」
・ナイジェリアの「ボコハラム」
・パレスチナ地区「ハマス:イスラム抵抗運動」(1987年パレスチナ地区のムスリム同胞団の最高指導者により対シオニズム抵抗組織として結成)カッサーム旅団はハマスの軍事部門。
・シリアの「HTS::シリア開放機構」
・「アハラ―ルッシャーム」

・IS支持者はどのくらいいるのか

・「イラクとシリアにおけるイスラム国の勝利を支持するか?」4万人の81%がYes (アルジャジーラ(アラビア語ニュースチャンネル:視聴者はアラブ人スンナ派イスラム教徒)の2015年アンケート)
・「イスラム教徒が多数を占める11カ国で、6000万人以上が支持」(ほかの調査)
・「仏イスラム教徒は年代別に20~27%が支持、イギリスは4~11%、ドイツは3~4% (ほかの調査)

イスラム国の広報部門

・アアマーク:通信社的部門。世界中のIS支部の戦果を短い文章で配信。戦場や自爆攻撃の瞬間などの短尺ビデオを公開。
・バヤーン:上記の戦果を放送するインターネットラジオ。
・イスラム国、アルカイダなどの過激派は、世界中のイスラム教徒に義務として聖戦(蜂起)を呼びかけている。

ジハード(テロ)はなくならない

ジハード(聖戦)はイスラム教徒の義務

・預言者ムハンマド「すべての基礎はイスラム、支柱は礼拝、頂点はジハード」➡ジハードこそが最高の善行
・イスラム過激派によるジハード(テロ)はコーランに書かれたイスラム教徒の義務であるため、これを根絶することは不可能に近い。
・基本的イスラム的論証は、コーランの特定個所、ハディース、イスラム法の権威ある学説を論拠として引用し、「ジハードは義務である」という主張を正当化している。
・ジハード戦線は、「世界をイスラム化せよ」という神の命令を実行している。戦闘員は国籍を問わず、自身を「神の命令を実行すべくジハードの最前線で戦う正義の戦士」と認識している。
・ISがテロの成功の際によく引用するコーランの章句第59章2節「神はかれらの予期しなかった方面から襲い、かれらの心に怖気を投げ込み、それでイスラム教徒たちと一緒になって、自らの手でかれらの住まいを破壊した。あなたがた見る眼を持つ者よ、訓戒とするがいい」

ジハードは今や集団義務から個人義務へ

・世界をイスラム化するために武器をとって異教徒と闘うジハードは、週末の日まで常にどこかで存続し、イスラム教徒の一部が必ずそのジハードを戦わなければならない(集団義務)。しかし、イスラム教徒の土地に不信仰者が侵入、イスラム教徒の軍と異教徒の軍が対峙したり、イスラム教徒が蹂躙された時、全てのイスラム教徒の義務となる(個人義務)。
・ISなどのイスラム過激派は、欧米の軍隊がアフガニスタン、イラク、シリア、サウジアラビアなどのイスラム諸国に駐留、あるいは、欧米の軍隊が、過激派掃討作戦の名のもとに無辜のイスラム教徒を殺害し、「正しい」イスラム教徒が不当に投獄、処刑されている現在は、イスラム共同体の危機的状況と訴え、ジハードは全イスラム教徒の義務、個人義務になっていると主張している。

ジハードへの誘い

・イスラム教徒はすべてジハードに参加しなければならないが、動けないほどの病人や高齢であれば財産だけでもよい。言葉によって異教徒と戦うジハードもある。「あなた方は奮起して、軽くても重くても出征しなさい。そしてあなた方の財産と生命を捧げて、神の道のためのジハードをしなさい コーラン第9章41節」
・不特定多数の人を殺傷するのは、制定法や国際規範上テロ行為、犯罪であり、残された家族にも多大な迷惑がかかる。しかし、ISは、啓示的根拠をもとに、「神の法だけに従う者が救済される。残された家族についても神がよく取り計らってくださるので心配はいらない、人間が畏れるべきは神のみである」と諭す。

・ISなどのイスラム過激派は、シリアやイラクなどで無辜の同胞(イスラム教徒)がキリスト教徒に惨殺されているという事実を強調して、神によるジハードの命令、殉教者に対する神の報いを思い起こさせる。
・2014年8月 イスラム過激派イデオローグのフサイン・ブン・マフムード「イスラムは宗教であり、ジハードなくしてそこに真の人生などなく、神の道における死こそが究極の目的である。イスラムの若者たちよ、これがイスラム教であると知るがよい」

女性に早婚とジハードのすすめ

・2017年8月 パキスタン・タリバン運動が女性向けの雑誌を創刊。女性に早婚と、ジハードへの参加をよびかけた(女性同士でジハード参加者を募り、女性も身体を鍛え武器の使用法を学ぶよう)

子供も戦え

・イスラム教では、10歳でも第二次性徴(思春期)を迎えると成年に達したとみなされるため、男子であれば集団義務としてのジハードが課せられる。ISは、子供を軍事キャンプに入れ実戦に少年兵を投入している。

殺しの指南

・2014年9月 IS報道官アドナ―二―「イスラム教徒は、爆弾や銃弾がなければ、石で頭を殴る、ナイフで切りつける、車で轢く、高所から突き落とす、毒を盛るなど」いかなる手段でもよい。と一般のイスラム教徒に戦い方を示唆。

・ナイフは鋭く強度の高い刃のついたものを選ぶべき。長すぎるナイフは隠すのが困難。折り畳み式は攻撃に不適。心臓や肺などの主要臓器を刺せ。
・車は大きく機動力があるもの。重量がありスピードの出る、できればメタルフレームのあるトラックが最適。野外フェスティバル、歩行者の多い大通り、野外マーケット、パレード、政治集会に突っ込んで、できるだけ多くの市民をひき殺せ。
・アルカイダ機関紙(2017年8月)は、交通機関の攻撃を特集。乗り物、線路/道路、駅/ターミナルに3分類。最大のインパクトは、飛行機、舟、列車への攻撃で、失敗しても、多大な心理的恐怖を与える点で効果的とする。

ラマダン月(イスラム暦の第9月)

・日中断食をして信仰心を高揚させるラマダンは、歴史的・伝統的に殉教の月。630年のメッカ征服、711年のアンダルス侵攻、1973年の第4次中東戦争など、ラマダン月に重要な勝利を得ている。過激派も穏健派もラマダン月にはジハードの重要性を強調するプロパガンダを盛んに行う。

・2012年9月イスラム法学者アリー・グムア(エジプト当局が最高権威と認定)「ラマダンは神を崇拝し神により近づくための月であるだけでなく、この偉大なる宗教を広めるために行動し、ジハードをするための月である」「ラマダンは征服の月であり、神がイスラムの光、道徳、価値を全人類に広めることをお望みになっている月なのだ」
・2012年9月ムスリム同胞団最高指導者ムハンマド・バディーウ(2012年から1年ほどエジプト政権を担った)「神はラマダンの断食とともに戦闘を、そしてそれによってイスラム教徒が勝利することをお望みである」「断食は義務を怠るためのものではない。ラマダンはむしろイスラム教による征服と勝利のために行動をおこす月なのだ」

・カリフ バグダーディー 上記の2日後「神の道におけるジハードをこえる善行はない。だから、ラマダンというこの機会を活用し、正しき先人たちの道を歩みなさい。ジハード戦士たちよ、神の道におけるジハードを通して神の宗教を支えなさい。神の敵を恐れさせ、あなたの望む場所で死を求めなさい。なぜなら現世は必ず終わりを迎えるが、来世は永遠につづくからである」

ローンウルフのすすめ

・2015年9月IS機関紙 「不信仰の地からカリフ国に移住することのできないイスラム教徒にもジハードの機会はある。攻撃対象は世界の70以上の十字軍諸国から選べばよい。奴らの権益は世界中に存在している。どこであれ、彼らの市民を殺害すればよい。ロサンゼルス、ニューヨークなどのシーア派コミュニティでも、ジャカルタ、ドーハ、ドバイのバーレーン外交使節団、ボスニア、マレーシア、インドネシアに来た日本の外交使節団でもよい。」
・ローンウルフは、神が不正な世界を正すべく行動を起せと命じていると自覚している。

戦利品としての異教徒

・ジハード(異教徒との戦い)で獲得した異教徒の家族は戦利品として扱い、五分の一は国庫へ、五分の四は戦闘に参加した戦闘員の間で分配する。
・戦利品(女奴隷)はそれぞれの戦闘員の「右手の所有するもの」となり、性交することも売買することも認められている。
・ISはイラクとその周辺に居住するヤズィーディー教徒(多神教)の女性と子供を奴隷にした。
・奴隷化したヤズィーディー教徒が主体的にイスラム教に改宗すれば、「神はイスラム教に改宗した奴隷を来世、天国に迎え入れてくださる(ハディース)」
・同じ異教徒でも、ユダヤ教、キリスト教は、イスラム法上「啓典の民」とし、イスラム教の統治に服し人頭税を納めることで、自分の信仰を保ち暮らすことができる。

殉教者は天国へ直行する

・預言者ムハンマド「殉教者は流血の瞬間に全ての罪が許され、墓に行く(現世に留まる)ことなく天国に迎え入れられる。死という恐怖から遠ざけられ、72人の乙女が妻として与えられる。自分の親戚など70人を天国に入れていただけるよう神にとりなすことができる」など。

ジハードは増加している

・ジハード戦士は世界中に拡散し、攻撃の機会を虎視眈々と狙う。インターネットを駆使したプロパガンダ活動、ビデオや雑誌で戦場を公開する広報活動もジハードの一環。
・自爆テロ件数は増加の一途。2000年39回、2010年175回、2011年209回、2012年402回、2013年623回、2014年742回、2015年915回、2016年982回(メリーランド大学グローバル・テロリズム・データベース)
・コーランによれば、異教徒である日本人は「神の敵」として殺すべき相手であり、日本人を攻撃するか否かはイスラム戦闘員次第。

ベビージハード

・エルサレムのイスラム教指導者ムハンマド・アイヤード(2015年3月)「どんどん子供を産んで人口パワーでヨーロッパを征服しよう」
・イスラム教徒人口は増えている。ビューリサーチセンターのリポート(2016年7月)では、ヨーロッパ人口のイスラム教徒の割合は、1990年4%、2010年6%、2030年8%、2050年10%。
・イスラム教徒女性が産む子供の数は2.9人(非イスラム教徒女性は2.2人)
・妊娠、出産は真意の顕現。預言者ムハンマド「愛らしく、子供をたくさん宿す女性と結婚しなさい。私は(最後の審判の日に)すべての共同体を前に、わが共同体を(その数の多さで)誇るのだから」

「イスラム教は平和の宗教」論は背教者的認識

・「イスラム教は平和の宗教」論者は、たった一つのハディースを根拠として、「小ジハード(異教徒との戦いに努力する)より大ジハード(己の弱い心に打ち勝つ)が重要」と主張する。しかし、このハディースは11世紀以降に書かれたもので、コーランと6大ハディースには該当する根拠は存在しない。この主張はイスラム法の文脈から外れたものであり、背教者的認識と言える。
・ジハード論を掲げる過激派に魅了されるイスラム教徒を思いとどまらせるには、イスラム教の論理でジハード論者を論破するしかない。しかし、イスラム教の教え(コーラン・ハディース)に従う限り、そのための根拠はない。

イスラムの宣教

・イスラム法(コーランやハディースに立脚)は、不信仰者に対しては、まず宣教を行い、従わない場合は武力で制圧して、殺害するか奴隷化すると規定している。異教徒がひとたびイスラム教徒になれば、棄教は許されない。
・入信は簡単。儀式としては、二人の成年男性イスラム教徒の前で「ラー・イラーハ・イッラッラー・ムハンマダン・ラスールッラー」(アッラーの他に神なし、ムハンマドは神の使徒)と唱えるのみ。実際には、神を信じ神の命令に従うと心に決めたら、その瞬間から神はその人をイスラム教徒とみなす。と信じられている。

日本での宣教活動

・ザーキル・ナイク(ビンラディン支持、自爆テロ称揚で知られるインド人過激派イデオローグ。2017年インド政府はインターポールに国際手配を要請)は、2015年11月に日本ムスリム平和連盟の招待で来日し、東京ジャーミイや日本ムスリム教会など日本の名だたるイスラム教団体の歓迎をうけ、東京大学、同志社大学、九州大学等で「イスラム教は平和の宗教」云々と講演、数名の日本人をその場でイスラム教に改宗させた。2016年ナイクに師事した日本人がナイクの許可を得て千葉県内にNGOを設立し宣教活動を開始した。

イスラム教の魅力

・イスラム教徒以外は、(家族を大切にし、一生懸命働き、できるだけいい暮らしをするよう努めても)全員地獄行き、と説くイスラム教は、逆に、今の価値観、世界の在り方、自分の現状に不満、不安、疑問を感じている人には、イスラム教こそが解決の道であることを示唆する。すなわち、自分の意思を放棄し、神に己を完全に委ねるならば、来世は天国というまったく新しい人生を歩める、と説く。その結果、世界中で、日々少なからぬ人が自主的にイスラム教に改宗している。

教育機関と教育内容

・アズハル大学は世界最大規模のイスラム教スンナ派の研究教育機関で、世界各国から敬虔なイスラム教徒が正統なイスラム教を学びに集まってくる。
・アズハル大学では2013年からの1年間でも約30万の学生が学んでおり(エジプト政府の発表)、世界中にイスラム教の教育機関ネットワークを有し、毎年200万人の学生が学んでいる。すなわち毎年200万人が異教徒の殺害、奴隷化は正しいといったイスラム法の規範を正課として学んでいる。

・イスラム法は神が下した完全無欠の法で、法の完全性は神の完全性に由来する。よって、イスラム法の欠点や間違いを指摘することは、神に欠点、間違いがあると主張するのと同等で、絶対に禁じられる。
・コーランの正しい読み方は、文字通り読み、字義通りに解釈すること。
・イスラム法上の最も強力な規定は、コーランとハーディスの字義通りの意味から導出される規定。

主流派と過激派

・過激派だけでなく、イスラム教徒の多くは、人間の作った決まり事を、神の法と比して軽視する。
・主流派の過激派批判は、ほとんどが論拠薄弱。
・過激派も穏健派も立脚する規範体系が同じイスラム法であるため、アズハルはISを批判しても、ISを「イスラム教に反している」、「不信仰である」などと明確に断罪することができない。すなわち、主流派の広がりは、結果として過激派を理論的に支え擁護することになる。

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