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製造業の品質管理とは?

品質管理とは、製品やサービスの品質を維持・向上するためのマネジメント手法のことです。

製造業で品質管理が必要な理由として、製品の不良率低減、生産性向上、コスト削減などが実現できるからです。

製造業以外の業種、例えばサービス業では、サービス品質の向上、顧客満足度の向上、サービス提供プロセスの改善などが目的となります。

品質管理の手法には、統計学を活用した統計的品質管理(Statistical Quality Control:SQC)があります。

SQCをベースにし、製造に直接関わる部門だけでなく、全社的に取り組む手法が総合的品質管理(Total Quality Control:TQC)です。

さらに、経営者が主導して企業全体としての品質管理目標を設定し、各部門に展開する総合的品質経営(Total Quality Management:TQM)も近年では定着しつつあります。

また、ISO9001などの国際的な品質マネジメント規格に基づく品質管理も行われており、現代ではグローバルスタンダードのマネジメント手法といえるでしょう。

品質管理の重要性

もし品質管理を行わないとしたら、低品質の製品や不良品をそのまま販売することになります。
結果、購入者からのクレームが増加して、自社製品や企業への信用が低下する恐れがあります。

不良品によって不利益を被るのは、企業だけではありません。
不良品を手にした購入者が事故を起こしてしまったり、怪我をする可能性もあります。

万が一の場合、不良品が原因で火事や交通事故などの重大事故が発生して、不特定多数の人々へ危害を与えてしまうこともあるでしょう。

不良品が原因で事故が発生した場合、損害賠償の支払いが発生するなど、経営継続に影響を与える事態に陥ることも考えられます。

これらのトラブルを回避し、安定した品質の製品を提供するためには、適切な品質管理が不可欠なのです。

適切な品質管理によって、不良品が出荷されるトラブルを防ぎ、安心して使用できる製品を提供できれば、企業としての実績が認められ、信頼性や顧客満足度が向上します。
製品・企業への信頼性が高まることで、新規顧客獲得やリピーターの増加による売上アップ、長期間の経営継続も期待できます。

工程管理

工程管理は、製品を製造する作業工程を適切に管理する業務です。

作業手順や作業工程が工場や従業員により異なると、不良品が発生する確率が高まるため、マニュアル作成などにより作業工程を標準化する必要があります。

工程管理では日々の工程から稼働状況、製品の品質といった管理に必要な数値を記録して、管理図を作ることが必要です。

従業員の技術力に個人差があると、製品の仕上がりにばらつきが生じます。
従業員が作業を適切に行える一定の技術力を得るためには、従業員の作業訓練や知識の習得など、教育面も意識する必要があります。

製造に使用する設備は、維持や管理を行わなければいけません。
設備は、摩耗や経年による劣化が生じます。
そのため、定期的に点検し、必要に応じて修理や交換を行います。

このように、作業工程を技術面や設備面などから最適化することで、作業ミスの発生を防止して、製品の品質向上や作業効率化につなげます。

品質検証

品質検証は、製品の品質や機能に問題がないかを検証する業務です。

製品の原材料や部品の受け入れ時には「受け入れ検査
各製造工程では「工程内検査
製品の完成時には「完成品検査
倉庫に保管していた製品の出荷時には「出荷検査
など要所で必要な品質検証を実施します。

 完成品検査では、製品の強度・耐久性を確認する「破壊検査」や、破壊せずに製品サンプルを調べる「非破壊検査」を実施して、完成品の質を検証・保証します。

品質基準の判断に用いられるのは、日本産業規格(JIS)や国際規格(ISO規格)などです。

受け入れ検査・工程内検査・完成品検査などは、工程能力の監視を目的として行われます。

その際は、CpやCpk(「定められた規定値の中で、製品のデータにどれだけばらつきがあるのか」を数値化したもの)といった「工程能力指数」を用いて、検査製造工程に成果物の質を低下させる原因がないかを検証します。

品質改善

品質改善は、不良品の発生予防および再発防止のために改善を行う業務です。不良品の再発を防ぐためには、「QCストーリー」と呼ばれる問題改善に用いるプロセスを使用します。

QCストーリーは、不良品が生じた原因を調べるためにデータ収集して現状を把握し、原因を分析して対策を講じ、解決していく手法です。

不良品を未然に防ぐためには、「工程FMEA」などの手法が用いられます。FMEAとは「Failure Mode and Effect Analysis」の略で、日本語では「故障モード影響解析」と呼ばれています。

製造プロセスで生じる恐れのあるさまざまな要因を洗い出し、不良品発生の予防を図る手法です。

おわりに

今回は品質管理の基本的な概念を押さえておきました。
生産管理の領域はQCDを最適化することにあります。

ついついD(納期)を優先してしまいがちですが、顧客との信頼関係を保つためにはQ(品質)が最も重要視されます。
知らないでは済まされない時代になってきています。

必ず押さえておきましょう。

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