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鳥さんの鳴き声を分析し、言語化する人!?  シジュウカラ語で「蛇だ!」は「ジャージャー」

私は、通勤での待ち時間、ホームで鳥の鳴き声が聞こえても、本物か、音声を流しているのか見分けがつかないほど鈍感ですが・・・(先日、音声だと確認)

休日に散歩していると、道の右側から、鳥さんの鳴き声『〇×■▽※▼!!』

解読不可能・・

すると今度は道の左側から、同じ仲間と思われる大きな鳴き声が

『■▼〇※※●△!!』何度も何度も行ったり来たりしていました。


鳥さんの会話がわかるようになったら、それはそれで怖い。

変な奴が来たぞ!って言っているのかな?


しかし、世の中には、鳥の鳴き声を分析して、それを言葉化した方がいます。

京都大学の鈴木氏はシジュウカラの言葉の意味や語順のルールを突き止めた

 

「人間が動物の言葉を理解するのは簡単にはいかない。けれども動物たちが音声と言う手段を通じ、従来の研究者が考えてきたよりもはるかに高度な意思疎通を図っていることは間違いない」

こう話すのは、日本で動物言語の研究を続ける京都大学白眉センターの鈴木俊貴助教(動物行動学)。冒頭の"シジュウカラ語"の分析も、鈴木氏によるものだ。

もともと生物に関心があった鈴木氏。シジュウカラ語の研究の道に進んだきっかけは、2005年、大学の卒業研究のテーマを探しているときに、シジュウカラの鳴き声がほかの鳥よりも多彩なことに気が付いたことだった。

シジュウカラ語で「蛇だ!」は「ジャージャー」

鈴木氏は「シジュウカラは200種類ほどの鳴き声を使い分けて、仲間とコミュニケーションをとっている」と話す。冒頭の「ジャージャー(蛇がいる時に出す特別な声)」も、その1つだ。

鈴木氏の研究によれば、実際に「ジャージャー」という鳴き声を録音しスピーカーから流してみると、それを聞いたシジュウカラは、地面に蛇がはっていないか探すような素振りを見せる。またそのうえで、細長い棒など蛇に似たものを示してみると、シジュウカラが確認しに近づいてくることも分かった。他の音声ではこうはならない。

鈴木氏は、蛇を伝える言葉のほかにも、数種類の鳴き声について意味の特定に至っている。

例えば、「ピーツピ」は「警戒しろ」、「ヂヂヂヂ」は「集まれ」という意味だという。さらに言えば、意味の特定だけでなく、言葉の順番にも一定のルールがあることを突き止めた。

シジュウカラは「ピーツピ」と「ヂヂヂヂ」の語順のルールを理解し、組み合わせることができる。「ピーツピ」→「ヂヂヂヂ」という順番で音声を聞くと、たいていのシジュウカラは周囲を警戒しながら音源に近づいてくる。その一方で語順を人工的にひっくり返して「ヂヂヂヂ」→「ピーツピ」という順番で聞くと、ほぼ反応を示さないという。

「おそらくシジュウカラは文法まで持ち合わせている。初めて聞いた文章(鳴き声の組み合わせ)であっても、文法的に正しいかどうかを瞬時に判断し、言葉のつながりを理解できることが分かってきた」。鈴木氏はこう話す。

鈴木氏をはじめ動物言語学者の主張が正確であるとの前提で話を進めれば、今後は、AIや音声認識技術の発達に伴い、動物とのコミュニケーション技術は一段と発達する可能性が高い。正しくヒアリングでき、また再現できる"動物語"が増えるからだ。

広い意味での動物との意思疎通が実現すれば、それは「動物園の最適管理」や「ペットの病気の早期発見」などを超えるインパクトを人類に与えるのは間違いない。意思疎通のメリットについて京大の鈴木氏は「シジュウカラ語が分かるから、例えばフィールドワークの中でも蛇やタカがいるかがシジュウカラの声で分かる」と話す。

気象予測や災害予知、資源発掘など様々な場面で、動物から得られる情報を人間が活用する未来がやがて到来する。そう考えている研究者がいても、何らおかしな話ではない。

(日経ビジネス 定方美緒)



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