見出し画像

詩/ 白い腹蛇

白い腹蛇はらへび

無蓋の睡者
よ聞こえる
か私はお前
の夢を見る
ぞお前の柔
らかで脆弱
なはらわた
を私は喜ん
で這い蹲り
頬をお前の
血と湯気で
ぬらりとあ
つくしなが
ら食む夢だ

眠りの爾余はうたかたに遠く
私の声もまた潮騒の如くなのだろう
寄せては返し寄せては返す波の音
私の声は間延びし、浅く遠く
お前の頭を取り巻くのだろう

この声は聞こえているのだろうか
あの時の私の声は?
白い蛇よ
鬱金うつこんの眠りのなか
繰り返したお前の名前だけが
柔らかな地面にぽつんと響き渡る
きざはしはゆるやかに落ち込むのだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?