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『ダルいわぁ』

「世の中ダルいわぁ」、そんなことを言う若者で、あふれている日本だ。
私も同意しよう。「抗がん剤治療ダルいわぁ」、と。
ようやっと食生活の見直しに着手した私は、健康食の虜になっているところだ。健康食の虜になりながら、ソファーで横になりながら日がな一日ダルく過ごしていた。私なりに、健康と不健康のバランスをとろうとして、普通の日常を獲得しようとしている訳でもない。ただただ、身体がダルいのだ。

「ダルいわぁ」と、『トー横キッズ』と『ソファー上ダルいわぁ』の私が独りごちているところに、Amazonから荷物が届いた。
それは、抗がん剤治療をしばらく続けると決めた以上、いつかは来るであろう副作用の脱毛に先んじて、注文していたバリカンだ。
届いてから15分で12ミリのアタッチメントでまるっと刈った。さっきまで、「ダルいわぁ」とぐだぐだしていた私とは思えない早業だった。

「かるいわぁ」、二千数百円のバリカンはお値段以上のクオリティだった。私の気分は上々だ。抗がん剤治療中は、紫外線も大敵であるらしい。日焼け止めも併せて、初めて買った。明日は散歩をしよう。

正直に言うと、健康食についてはキリがない。私は途方に暮れている。そもそも、大抵の食べ物は身体によいからだ。この世の中に、明らかに身体に悪い食べ物なんてないのではないだろうか。安価で、つづけられそうな健康食の取捨選択をしようと思っている。あとは、調理方法次第でどうにでもなるのではないか。


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