『ま夏。九月二日。虫の音』
昨夜、虫の音がした。秋の虫だろう。
とうとう、夏が終わるのか。
が、そんなわけはなかった。今日も蒸し暑い。おまけに、どしゃぶりだ。
金木犀の香りが町いっぱいにひろがるまでは、夏でいい。
おそらく私は、気象病で調子がわるい。
けれど、そもそもが、肝臓がんで不安神経症でむずむず脚症候群で発疹が身体中にぽつぽつ増殖を続けていて、更に眠剤を処方されているので、『調子悪』の正体を、核を、突き止めるのは難しい。
昨年の秋が私の人生の底の底で、おまけに底の穴に自ら滑り降りるところでもあった。そこから這い上がった者は、多少図太くなり。また、かなりの事がどうでもよくなるようだ。
人生百年時代の半分までは生き長らえる目途のついた私の精神の波はフラットで、もう、あまり揺るがない。私が揺らぐのは「くだらない」事だ。くだらなければ、上品も下品も問わない。
と、いう事で一夜限りの『内村プロデュース』を楽しみにしている。
病院ではなく、我が家で視聴できる歓びを謳歌したい。
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