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するりと抜けてゆく 私のこわばった手から 小銭やらなんやらが がらんがらん するりと抜けてゆ…
ゆめの裏口の扉からそっと出たところに 月の表口の扉があります 顔だけだしておそるおそる覗い…
雨の匂いの思い出などないけれど けれど、なつかしく胸の内から芽吹いている どこのだれだかし…
うーあーうー。おはようございます。 うーあーうー。腹が減りましたよ。 うーあーうー。ハミガ…
うまれては 〇 よくそだつ 口 つのはえた 凸 おちついた 口 おとろえた 凹 わすれたり …
たまに詩い たま詩いの たまに詩い たまに強い 「タマニシイ、タマニシイ」 たまにはよい詩い …
春いちばんの 夜中の討ち入り 寝ている私の耳にそっと息を吹きかけるようにはなりませんか 春の処方箋と私の処方箋を突きつけあいましょう そうすればわかってもらえるはずだ どんがらっどっがっがん そんなに 一斗缶を投げつけなくても どんがらっどっがっがんどんがらっどっがっがん そんなに 一斗缶を叩かなくても 四十七士のような春の討ち入りに 日本中の者らが 春のあなたに起こされてしまったよ 今年から 処方箋変わりましたか?
夏のカーブ 秋のカーブ 冬のカーブはもうすこしで出口が見えてきた 「カーブの出口には幸せし…
「風強」 こんなときには 漢字の服を吹きとばして ひらがなを露出させたい 「かぜ、つよ」 そ…
そういえば そうそうそう なんだったか なにをわすれたのだったか そんなときがある そんなと…
私は初詣に行った。 世の理だけでは私は暮らせない。 理路整然とした世の理の外と、通信をした…
うつむきながら つとめてあかるく こんにちは 夜の、よなかのくらがりの 虚ろな目ではっきり…
私はブーツの埃をブラシではらう いい匂いがした いつの間にか つぼみの蝋梅が玄関にあった 私はブーツにオイルを塗った いつの間にか 蝋梅のつぼみが膨らんでいた いつの間にだ いつの間に 咲くつもりなのだろうと 私はじっと見ていた 蝋梅もじっとしたまま私を見ていた 私はブーツを布きれで磨いた いつの間にか ひとつぼみの蝋梅のいのちが「ぶつり」と終わった 膨らみきれないままのつぼみだった 私はそれを拾うと 片方のブーツの中に入れてみた 私と蝋梅との間に いつの間もない 奇