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地域とつながりながら活動する ~高知県青年団協議会~

 今回は、「全国まちづくり若者サミット2022」(以降「若者サミット」)のトークセッション2を担当する日本青年団協議会事務局の氏家が、高知県青年団協議会の森岡千晴さんにお話を伺いました。地域で活動しながら、日々学びあう青年団。今回の若者サミットにも登壇します。そもそも青年団ってなに?どんな活動をしているの?なんで続けているの?そんな素朴な疑問に答えていただきました。

青年団ってなに?

 みなさんは「青年団」という若者の団体を知っていますか? 青年団は全国各地にあり、おおよそ高校卒業から30~40代までを中心とした地域青年がつくっている団体です。森岡さんは、大きく分けて2つの特徴がある団体だ、と言います。

 一つ目は、「地域活動をする団体」です。青年団は、自分たちが暮らす地域で集まって、おまつりや伝統芸能、成人式などの地域行事を企画・運営しています。成人式も、元々は青年団が始めて全国に拡がったと言われているんです。それから世代間交流や清掃活動など、今で言うボランティア活動をとおして地域を元気にしています。

 これだけなら、他の地域おこし団体、まちづくり団体とも近いことをしています。ところが、森岡さんは続けます。

 二つ目は「社会教育を実践する団体」。と言うと難しいんですが、地域や社会の中には学校以外で学べることがたくさんあります。人づきあいだったり、礼儀だったり、新しく何かができるようになった、とか。学校ではない日頃の活動の中で、色々な経験をとおしてそれぞれが学び成長し、そうして日々の暮らしが豊かに、いきいきとしていけることを目指した団体です。

高知写真(差し替えるかも)

地元選出の国会議員を招いた勉強会

 青年団の歴史は古く、大元をたどれば室町時代以前にもさかのぼると言われています。青年団はその長い歴史の中で、「お互いの意見の違いを認め合い、学び合う」ことを大切にしてきました。時には回りくどい、もっと合意形成がストレートのほうが良い、と感じることがあるかもしれない。けれども「自分が絶対に正しい」のではなく、相手から学ぼうとする姿勢を(時には無意識に)持っています。

地域活動の枠を越えて

 青年団は、小学校の校区単位という狭い範囲のものから存在します。それらが集まって郡市町村単位、郡市町村の青年団が集まって道府県単位の青年団を形作ります。高知県青年団協議会は、県単位の団体です。いったい、どんな活動をしているのでしょうか。

 県内のそれぞれの地域が盛り上がれるように、みなさんと一緒に色々な機会を作っています。例えば、地域の若者が世代や職業を越えて集まれる機会をつくろうと、婚活事業や運動会、青年大会というスポーツや文化の大会などを開催しています。

 県内の青年が集まる機会を作る青年団。でも、活動はそれだけではありません。

 次の世代に青年団をつないでいこうと、子どもキャンプを開催しています。香川で地域の子どもたちを育てていくためキャンプ事業をやっていることを知って、自分たちでやってみようと思って。それから、地元の高校生や大学生と一緒に活動することもあります。

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地元高校生対象の自然体験キャンプ事業「元気モリモリキャンプ」

活動をとおして学ぶこととは

 どうしてそこまで自分たちの地域や、その未来に密着して活動しているのか。そこに青年団が青年団であることのヒントが隠されています。

 サークルとかも楽しいと思うけれど、子どもたちやお年寄りと接点があると、やりがいが違うんですよね。喜んでもらえた時の達成感とか。なんというか、人のぬくもりを感じるからですかね。同じ世代だけで完結するんじゃなくて、地域で下の世代から気づかされたり、上の世代に見守られたり……そうした学びや発見がありますよね。そうすると、「頑張らんといかんなぁ」と、一生懸命にやってみる体験がその人にプラスになっていくんですよ。そこに身内だけでなく、第三者がいることが大事です。時として、そのつながりが鬱陶しく感じられることもあるんですが……、人の中で揉まれることで人間的に味が出てくるのかも。だから面白いし、もっとやろう、続けていこうと思えるんです。

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 地域とつながりながら活動することが大切だと考える森岡さんは、どうして青年団に入ろうと思ったんでしょう。

 元々、同級生に「おまつりで歌を歌ってくれないか」とお願いされたのがきっかけでした。行ってみたら楽しいし、自分を必要としてもらえたことが嬉しくて、何となく参加しているうちに、あれよあれよと役員になってしまって。でもそこで、自分のことが初めて好きになれました。それまで、自分自身の事を深く考えたこともなければ、向き合ったことも無くて。自分の考えを相手に伝えられる場所があるということが大事だったんです。事業の参加者だったら、実感が湧かないかもしれないけど、自分が事業を作る立場になったとき、自分の考えをちゃんと持っていなかったことに気づかされたんです。

 自分の気持ちを伝えたり、受け入れてもらえることが大事だと、青年団での活動をとおして気付いた森岡さん。こうした気付きや学びの場になっている青年団をどんなところだと思っているのですか。

 気持ちを伝えたり、受け入れてもらえるためには、そのための場所が必要なんです。そうして受け入れてもらって初めて相手のことを、地域のことを考えられるようになるんじゃないかと。学校を卒業して就職しても、ただそれだけでは地元のことを考えようとは思わないでしょう。青年団はある意味、社会や地域の中で生きる、暮らすことと向き合うための練習の場なんじゃないかな。失敗しても良いわけだし。

 これが会社など法人のように、その事業の収益で誰かが生活しているとなったら、もし失敗したら大変です。でも、青年団は食い扶持じゃないからこそ、何度でも失敗して、そこから学び次に活かせる。よく、Z世代(1990年代半ばから2010年ごろまでに生まれた世代)は「失敗したくない若者」などと言われますが、その一人ひとりにとって、逆にこういう時代に貴重な「失敗を体験できる場」にもなっています。日頃生活しているだけでは、できない経験ができる場所と言えるのでしょう。

学びの先に地域がある

 普段の生活を送るうち、自分から地元のことに気づける、地域に目を向けて行動できる人もいる。でも、そうじゃない人もいる。自分からはできない、何をしたらいいか、どこに行ったらいいかわからない、そもそも何かしたいとすら思っていない人にとって、青年団は受け止めてくれる練習の場にもなっています。その青年団がいまの地域社会で、果たしている役割とは。

 きっと出会いの場ですよね。青年団でも事業として婚活、出会い事業をやっていますが、それ以外の場面でも、友達や男女が自然体で付き合いながらだんだんお互いのことを理解していける。合コンや街コンではわかりづらい、相手の表の裏も見えてきます。人は一人で生きていけるわけないんですよ。他の人と関係をつくるうえで、利害関係なんかを抜きにして向き合うためには本当の意味でのつながりが必要で、コミュニケーションからの成長、学びの場になっています。

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地元で男女が出会う場としての婚活×SUP事業。出会った者どうし、楽しみながら自然と距離が近づく

 よく「自分のために」が中心にあって、「誰かのために」が周りにあるようにしたい、その方がパワーが出る、と語る森岡さん。自分がワクワクした気持ちでみんなを乗せていける方が楽しい、と言います。

 今回の取材でも、地域のための活動というだけでなく、学び合いという要素を繰り返し強調されています。ただの地域活動団体ではない青年団。これからもお見知りおきのほどを。

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