普通の家に生まれたい

普通の家に生まれたかったと思ってる人って、世界の人口の何%くらいに相当するんだろう?

私はそんな風に思って生きてきたクチなのですが、最近、野田洋次郎という人(RADWIMPSのボーカルの方)の自叙伝をチラリと立ち読みした際、彼が同じようなことを書いていて、激しく共感したのと同時に「あれ?親との関係で苦しむ人って結構いるのか?」という疑問も湧いたのです。

彼のお父さんは極端に厳しい人で、子供に敬語を使わせていたそうですが、うちも全てではないにせよ、その様な雰囲気がありました。朝はとくに、「おはよう」じゃなくて「おはようございます」。車で送迎してもらったら、そこは敬語でなくても良いけど必ずお礼を言う。一回ごとに「ありがとう」っていうのが気恥ずかしいし、バカみたいだったし、なんか嫌だった。当然のように車を降りたかった。

親に対して軽口を叩いたりできるような関係が羨ましくて、そういうことが出来る子たちに「お父さん、優しそうだね」とか言ってみると、彼女たちは決まって「頼りないよ」などと言った。頼りなくたって、横暴なのよりはずっといいじゃないか。自分の親がどれほど有り難いか全くわかってないんだから、と勝手に腹を立てた。羨ましかった。別世界の人達だった。

両親にはそんなに叩いたりはされなかったけど、父は酔うと必ず説教を始めた。母はなぜか我が子よりも親戚の子供たちのほうが美しく賢いと思っていて、食事会などで集まると必ずみんなの前で私と姉のことを貶めた。なんでそこまで必要以上に徹底的にこき下ろすのか、全く理解できなかった。

一番印象に残っているのは、夏休み中、父に買ってもらった本を、おじいちゃんの家に忘れてしまって激怒されたこと。頼んで買ってもらったわけでもなかったので、私はそんな本があったことすらよく分かっていなかった。遠いので、取りに戻ることはできなかった。大の男が本一冊でここまでへそを曲げるのか、ということが衝撃だった。そんな風に私や姉を粗末に扱っておきながら、時には妙に過保護なところもあって、気持ち悪かった。

どんなことがあったかなんてここには書ききれないし、読んだ人の気分が悪くなっても困るのでこの辺にしておきますが(もうなってたらゴメンナサイ)、この「普通」の家に生まれたかった願望を、どの位の人が持っているのか私は知りたい。有り得ないとは思うけど、もしそっちの方が多かったなら、こっち側が「普通」になるから。

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