社労士試験独学受験日記(仮) 5年度轟沈編



勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負け無し。

令和5年度試験の続きは、択一式。
解答は、奇をてらわずにページ順。
得点源となる健保、厚生年金、国民年金から始めるという方法も一理あるが、マークシートの場所を間違うという致命的なミスを避けるために労基労安から始めることにしていた。
 
したがって、労基労安10題から解答。
だが、いきなり計算問題
基本問題だけど、ダミーの言葉や数値が準備してあって、受験生の出鼻をくじくには最適な問題。
出題者はなかなかのプロだと思わせる出題である。

(問題) 
下記のとおり賃金を支払われている労働者が使用者の責に帰すべき事由により半日休業した場合の労働基準法第26条の休業手当に関して
 賃金:日給 1日10,000円
   半日休業とした日の賃金は、半日分の5,000円が支払われた。
 平均賃金:7,000円

この前提で、休業手当の支払いの要否、支払うとしたときの支払い額を問う問題。休業手当の基本論点に自信を持っていたら、楽勝
休業手当って、平均賃金の6割以上という知識さえあれば解けるのだが、予備校の採点結果では、正答率が低かった模様。

解答に余計なダミーの条件、日給だとか、半日休業だとかに惑わされると出題者の思うつぼ。さらに、正答の選択肢を最後の5番目に配置して、選択肢を5つとも読ませてさらに混乱させようという魂胆。

小学生の算数、文章題と同じで、解答に不要な条件をもっともらしくちりばめて、基礎的な知識がない、うろ覚えな受験生を混乱させ、ふるい落とすのが主眼。
これで戸惑うようなら、受験生としては、並みの小学生未満ということになる(汗)

正確な知識、紛らわしいポイントを「がちがち」に固めきれていない単元を鋭く攻められた結果、労働分野系は5点死守の感触。論点不明問題頻発。
年金系は論点がわかりやすくて、さくさく解答。6~8点の感触(強気)。
試験時間に過不足はなし。
全く意味不明は、すべて「C」にマーク。
70問のうち35問は確実にゲットしていれば、
残り35問を5分の一の確率で正解するとして、7問。
35+7=42問でボーダーラインには迫るんじゃないかという見立て。
マークシートの見直しはできなかったが、丁寧に塗ったので大丈夫かなという楽観。
共通一次試験以来のマークシートだったので、塗る訓練をしたほうがよかったかもな?
体感的には40点台半ばでいい線いっているんじゃないかという感触。
たまたまがちがち勉強していたところが出題されているかどうかという「運」次第で合否が分かれるような仕上がりだったということになる。

(自己採点のコーナー)
翌日、予備校各社の模範解答を拝見すると
なんと、選択の国民年金、過去問とほぼ同じ問題で、大多数の受験生がサービス問題だと思ったこの問題が、基準点割れ。
労一・社一も補正(いわゆる救済)なしという平和な出題によもや国民年金の選択を落とすなんて!!
爆死確定。

合否はがきの到着を待つことなく、早速2年目の傾向と対策を練ることに!
まあ、独学1年で合格するほど甘くないという教訓であった。

出題意図って?

労基とか考えさせる設問が多い一方、爆死した国民年金選択のようにがち記憶力の問題であり、しかも、過去問そのままサービス問題って、出題意図ってなんだろうな?

設問は、
国民年金法第74条第1項の規定によると、政府は、国民年金事業の円滑な実施を図るため、国民年金に関し、行うことができる事業を選択するもの。
解答は、
教育・広報だとか、相談その他の援助という選択肢を選ぶというもので、この条文は別に取り立てて重要とは感じなかったこともあり、過去問の勉強も教科書の勉強も軽く通っていて、痛い目にあっているのだが、なぜ、複数回も出題するんだろう?そんなに重要なのか?

この条文は、社会保険庁のグリーンピア問題に端を発して、公的年金制度に対する国民不信や批判があったことから、年金制度の信頼を確保し、その安定的な運営を図るためには、社会保険庁の組織の改革と併せて、国民年金事業等の運営の改善を図ることが必要ちゅうことから、
グリーンピアなど年金福祉施設の設置等の根拠であった「政府は、 第1号被保険者及び第1号被保険者であった者の福祉を増進するため、必要な施設をす ることができる」旨の規定を廃止し、国民年金事業の円滑な実施を図るための措置として「教育・広報、相談、情報提供等の事業 を行うことができる」旨の規定が設けらたもの。

社会的に大きな問題となり、それに対する19年の法律改正という制度の根幹にかかわる条文っちゅう問題意識から、23年に出題され、令和5年にも出題されたんだろうな?

ちなみにこの際に、クレジット払い、国民年金の任意加入被保険者(60歳以上65歳未満の者等)について、口座振替による保険料納付を原則とするといった試験に頻出する制度も創設されているようだ。

こういった背景もあって、受験生にとっては、一見、単なるがち記憶力問題であっても、試験問題を作る委員側(制度設計に国の審議会委員とかで関与している学者とか)にとっては、意味のある問題だと思った次第。

受験参考書にも注意書きででもコメントがあれば、記憶していて「割れ」にはならんかったと思う。


有益な「通達」、「事務連絡」の活用

受験対策上、いちいち通達に立ち入るのはよろしくないといわれているが、過去問の山となっている「事務連絡」や「施行通達」は教科書よりもわかりやすい。

通達からの出題についても、頻出する通達に気づいてくる。
それを検索すると、健保とかにありがちな、行政実務の解釈を示したわりかし軽めな「事務連絡」もあれば、法律制定や法律の大改正時の事務次官や所管局長名(年金局長だとか、労働基準局長だとか)による「施行通達」もあるが、それ自体を厚労省のHPから検索して、プリントアウトして一読すると、過去問の山だということに気づく。

なかでも、労働契約法の解釈に関する出題は、労働契約法の施行通達がほぼ100%なので、教科書もさることながら、この施行通達を印刷して勉強すると得点力が爆増する。(「労働契約法の施行について」で検索)

試験結果

と、えらそうなノウハウを公表しつつも、5年度の試験結果は以下の通り。

選択 2/3/3/4/3/5/4/2=26  合格基準点26  
 労基マークミス(おいおい)、国年は上記の通りで、2科目は痛恨の基準点割れ。
 労一・社一で長期受験の沼にはまる受験生ならまだしも、マークシートに不慣れだとか、過去問が解けないとか、ごく初歩的な勉強ができていないことの表れである。
選択は、合格基準点確保ではなく、科目基準点の3点確保が大事。
3点を確保できれば、得意科目とか平易な科目は4点、5点得点するので、おのず合格できるはず。
これを「惜しい」と言っているようでは、合格にはおぼつかない。

択一
5/6/6/6/7/6/8=44  合格基準点45
わずか1点、されど1点。これを惜敗と評価するか、惨敗と評価するか?
択一についても、この1点にうん百人が分布しているようなので、惨敗。

総得点で合格圏内でも基準点割れ不合格は4割程度

とある資料によれば、令和3年の試験の分析は以下の通り。
①一般受験生       36,465人
②総得点以上の一般受験生  4,879人(選択24点、択一45点)
③一般(①)の合格者    2,831人(7.8%) 

各科目基準点割れ(②-③)が、2,048人と、②の約4割を占めている。
補正(いわゆる救済)、特に労一、社一が心配科目だが(だれだ、国民年金割れとか)、いわゆる救済があれば、③の合格者が増えるわけであるが、総得点では合格圏内であっても基準点割れで不合格となる受験生が4割程度存在するということは、頭に入れて勉強しないといけない。

基準点割れは、残念だとか、惜敗だとかではなくて、社労士試験ではもはや常識となっている関門だということになる。

1点差には、数百人が分布。1点差不合格は惨敗と同じ。


選択は合格基準点24点以上だったが、択一がわずか1点少ない44点
  697人
逆に、選択がわずか1点少ない23点で、択一が45点以上
  184人
697+184=881人
これを合格者2,831人に加えると、3,712人。
合格させてしまうと、合格率10%。
さすがに甘すぎである。

(結論)1点差は惜敗ではなくて、惨敗である。


センター試験+2次試験でも、点数開示制度があるけど、1点差不合格は多数。試験のボーダーラインって、結構なボリューム層を問答無用で切り捨てる厳しいものなのだ。
社労士試験も前年度の受験者の平均点との格差で調整しているといっても、1,2点の世界。合格者数は2000人台(後半)に対して、その1,2点に数百人、千人以上の受験生がいて、1,2点を救済したら合格者数爆増、合格率2桁になることから、この1点差って、惜敗ではなく、惨敗。
勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負け無し。


もしも、各科目ごと基準点(3点、4点)がなかったら?

ならば、基準点割れを廃止して、選択、択一それぞれの総得点で合否を決定するとなれば、どうなるんだろうか?
さっきの3年度データから拾い上げると

原則の7割(選択28点+択一49点=77点)だとすれば、
1,632人(4.5%) 低すぎ。
 
各1点下げ(選択27点+択一48点=75点)
2,240人(6.1%) 6%前半で厳しいけど、2000人超

択一1点下げ(選択27点+択一47点=74点)だと、
2,681人(7.3%)
選択1点下げ(選択26点+択一48点=74点)だと、
2,502人(6.9%)

各2点下げ(選択26点+択一47点=73点)だと、
3,033人(8.3%) 多すぎ。

こんな試算だと、
合格は、
合計74点(選択27、択一47)2,681人
     (選択26、択一48)2,502人 
一方、1点差不合格は、
合計73点(選択26,択一47)3,033人
とすれば、
1点差に530人から350人存在することになる。

合格者数や合格率を調整するための1点差は惜敗ではなく、
惨敗と言っていい。


6年度受験の数値目標

6年度(今年)の数値目標は、
選択30点、択一50点
選択は、基礎をがちがち固めて、労一、社一3点死守
択一も、基礎をがちがちに固めれば、平均7点、良ければ8点
労一社一が5点くらいに沈んでもなんとか50点台が見えてくる。

ということで、合否発表をまたずに、令和5年9月から引き続き受験勉強を再開。

以後、次回に続く。





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