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運動会

この春一年生になった息子の運動会を見に行ってきました。この辺りでは人数の多いマンモス校。1学年5クラスあるのですが、コロナ禍ということで6学年が半分に分かれて時間差での運動会。 

参加する種目は6年生との合同レースと1年生の玉入れ、二つのみ。そして見学は各家庭から一人のみ。なんだか寂しいなぁ。。。と思いながらも、雨で延期されたけど予備日には晴れて、開催できたこと。全校生徒じゃなくてもとにかく開催できたこと。見られるのは家族でたった一人でも、まずは「見られた」ということに感謝しなくては。

1時間くらいかな?あっという間に終わってしまって、子どもたちは校舎に戻り、通常授業へ。

でもね、楽しかったです。息子は生き生きとしていました。赤白帽子を深々とかぶり、一生懸命大きな6年生について走ったり、玉入れはカゴに入れることよりも拾うことに集中していました。競技の意味を分かっているのか?と思いながら、そんな姿を見られるのも楽しい。

思い出したのは約40年前(この年月を言葉にすると少し鳥肌が立つ)。校庭でお弁当を食べましたね。親たちは朝早くに場所取りをするために、大きなシートを持って学校に向かいました。普段見たこともない大きなお弁当。日焼けなんて気にしなかった小学生の私は、ただただたくさんの家族ごとの輪を見ながら、大好物のからあげを口に詰めこんで、おしゃべりしたいのに口が追いつかない、そんな幸せを満喫していました。競技を見てくれているのか親の姿を探してキョロキョロしながら走ったり、親の出番では転んで恥をかかないかヒヤヒヤしたり。にぎやかな音楽とヨーイドンのパンッという音、学校の正門には世界各国のカラフルな旗模様で連なったガーランドが掛かっていました。すべてが脳裏に焼き付いています。

8歳上の娘の小学校では、大きなホール(室内)での運動会でした。まるでアイスホッケーやバスケットボールの試合を見るような感覚で、帽子や日傘もいらない(親にとって)楽ちんスタイルの運動会。それはそれは贅沢な時間でしたが、だから、こんな砂ぼこりだらけの大昔の運動会を思い出すことはほとんどなかったんだ、と今気づきました。

約150年の歴史がある息子の小学校。息子の父も祖父も、そのお父さんも、この校庭で走り回りました。2022年の今年は、コロナ禍のため大きな声の応援団の代わりに一生懸命拍手をする先生や子供たちでした。後半に参加する学年の子どもたちが、本当なら同じ校庭で応援合戦のところ、授業終わりのチャイムと同時に一斉に校舎の窓のあちこちから校庭に向かって大応援。

どんなカタチでも、この校庭は毎年毎年見守り続けてきたんだな。そんなことを考えていたら、昔と同じ景色をいくつも見つけられました。

乾いた砂ぼこりと白線。
テントの影。
たくさんの赤白帽子と汚れた体操服。
放送席の上級生。
運動不足気味の先生とそうでない先生の動作の違い。

昨年もその前も、幼稚園の運動会は中止でした。たくさんの行事が中止される中、さまざまな工夫をして子供たちに豊かな経験の機会をあたえてくださる先生がたに感謝します。そしてこうやって今まで当たり前だったことが、本当は奇跡だったことにあらためて気づかされます。

昔と比べながら、楽しい、あっという間のミニミニ運動会でしたが、自分は中年の「母」であることを思い知らされたこともいくつか。

日陰で待機中の一年生。息子たちは何やら決まった列で並び、地面に座って応援をしていました。そのすぐフェンス裏で見学をしていた保護者たち。そんな子どもの姿を写真に撮ったり、お友達ママ同士でおしゃべりしたり、和やかな雰囲気の中、隣の子にちょっかいを出す息子。ドスン!と女の子の膝の上に座ったり、前の子の肩をモミモミ。ひざをすりすり。帽子を取り上げたり・・・。近くでその子たちのママが見ているのに・・・・。

すみません、すみません、こら!そんなことしない!嫌がってるよ!ごめんね〜!すみません、すみません、、

と、どの人がママかも分からずとにかく誰かに謝りながら、息子の行動をうるさく制するフェンス裏の私。どっちが動物園の檻の中だろう、とかわいい子供たちのキョトンとした表情を見て思ってしまった。

先生がすかさず息子の近くに座りにきて、気を紛らわせてくれました。そして私は少し離れて、他人のふりをすることに(もう遅い)。入学して2ヶ月という微妙な時期。自分の友達もいなければ、息子の友達の名前も顔も分からない。笑ってごまかすチャンスさえ与えられない。

最後には夫の同級生だったという女性が登場し、お子さんが息子と同じクラスにいらっしゃるという事実判明。そのかたの細身でスラっとしたおしゃれなスタイル。涼しげな日傘。感じの良さ。その笑顔(マスクをしても美人さん)の爽やかさに打ちのめされて、きっと人だかりで日傘は邪魔だろうと思い置いてきた私は、大汗いっぱいの帽子を深々とかぶり直し、高校生の娘に「人と比べても意味ないよ」と話す自分の声が天から聞こえてきて、一人苦笑いしながらトボトボと家路についたのでした。

皆さま、熱中症対策、忘れずに。

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