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小学校のプログラミング授業は学校の先生がやったほうがいいと痛感した

この記事は「マイスター・ギルド:暑中見舞!夏のアドベントカレンダー2020」12日目の記事です。

2018年の終わり、某公立小学校にて1~3年生のプログラミング授業をさせて頂きました。教育者ではなくエンジニアである私が各学年2コマ(90分)の授業内容を提案・実施。後日、小学校の先生が私の授業内容を再現して実施されのですが、現場の先生方の声を伺うと課題が盛りだくさんで、正直いろいろ失敗があったなという話です。いずれも私の知識と経験不足です。。。

※約2年前の話なので、現在の状況とは違う部分があるかもしれません。ご了承ください。でも本質はきっと変わってないと思います。


小学校は義務教育。全員が分かる内容であること。

街中のプログラミング教室やイベントと違って、小学校の授業ではいろんな子ども達がいます。授業に参加したくない子、理解したくてもなかなか理解できない子・・・など様々。

例えば下記のスライド。小学1年生(10月開催)向けに作りましたが、小学校の先生方からご指摘を頂いた失敗例がこちら。

プログラミングってなぁに?_スライド_20180617

「まだ1年生なので、ジュースの自動販売機を使ったことがない子ども達もいると思います。」とのこと。

言われてみれば確かにそうですよね。毎回外出時には水筒をちゃんと持っているご家庭であれば、自動販売機を使う機会はないかもしれないですね。

また、小学校2年生では「前にすすむ」「右へ曲がる」などの指示カードでコマを進めるゲームを行いました。しかし、これについても「小学2年生でも左右がわからない子はいます。」とのお話は頂きました。(でも左右は学校で教えてはいるのでOK)

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有志が参加する街中での教室などよりも、もっと多種多様な子ども達が集まっていることの多い小学校。授業で学んだことのみを共通認識の前提とするくらいのつもりで、例え話の題材選びなども重要だなと感じました。そして、この共通認識が何なのかを肌感覚で知っている学校の先生は強い!


小学生30人:先生1人

これ、本当にツライです。学習塾とかでプログラミング講師をされてる方も、30対1はあまり経験ないと思います。なので、もし外部講師が小学校の出前授業などを実施する場合、プログラミング教育に慣れてる人が考えるよりも、もっともっともーっと余裕のある授業内容にする必要があります。

私が授業した小学校の5年生はmbotを使って授業していました。(mbotとは車型ロボット。LEDや赤外線などのセンサーもついており、プログラミングで操作できます。)教えたのはIT系に強いクラス担任の先生とのこと。


そして、その1回目の授業内容を伺うと「mbotの電源を入れて切るまで」とのこと。5年生でも電源ON/OFFだけで45分。それだけしかできないのか・・・。下記みたいな感じ?(私の推測です。違ってたらごめんなさい。)

 1. 授業内容の説明:5分
 2. ペア毎にmbot配布:5分
 3. mbotを箱から出す。使用上の注意:5分
 4. 電源ON、使い方:5分
 5. (紙の上をライントレースで8の字走行くらいしてそう ):15分
 6. 電源OFF、箱に戻して回収:5分
 7. 授業まとめ:5分

でも10回目という授業では、路上駐車している車を避けるため車線変更してから踏み切りで停止とか、コンビニ駐車場にバックで駐車とか、楽しそうなことやってました!
小学校の授業参観とかいくと、授業のスピードがめちゃくちゃ遅くて正直ちょっと退屈になりがちですが、あれがベストなんだと思います。


先生は子ども達のことを知っている

外部の単発プログラミング教室と学校の授業で大きな違いは、参加者間で人間関係ができていること。友達に教え合うとか、友達のを真似してみるとかが単発教室に比べて圧倒的に多いです。

そして先生が子ども達のことを知っているので、「Aさんは普段あんまりやる気ないけど黙々とスゴイ作品作ってる!」とか「Bさんは普段大人しいけど、プログラミングだと友達に教えてあげてる!」とか、そういう外部講師じゃ分かりえない部分がいっぱいあると思います。


結論:授業は先生が行う。外部は学校や先生をサポートできる仕組みがベストでは

子ども達の教え方も接し方も、やっぱり専門家である先生の方が圧倒的に慣れているし上手なので、授業は先生に任せる。民間企業や外部講師は、先生向けにセミナーを開いたり、質問箱に回答したりみたいな、先生や学校のサポートをする。そういう仕組みができれば、プログラミング教育が楽しく有益なものになっていくんじゃないかなーって思います。


余談:機材は1人1台欲しい!!

これは私が小学5年生の公開授業(mbot)を見て感じたことですが、4人チームでタブレット/mbot 1つでも、予想以上にみんな自分ごととして参加してるように見えて、学校スゴイ、って感じました。でもみんなが熱中していくと

 ・タブレット操作する係
 ・mbotをスタートに置く係
 ・mbotをゴールで待つ係
 ・遠巻きにチームを見守る係・・・?

という光景が増える気がしました。割と仲間に入れないタイプの幼少期を過ごした身としては、私だったら触ることも画面を見ることもできず、遠巻きに見守る係なんだろうな・・・と思うので、機材は1人1台欲しいところです。教育関係の偉い方々、ぜひご検討を!!


<あとがき>
先生たちに全部押し付けたいわけじゃないんです。ただ、どれだけプログラミングができるエンジニアよりも、先生たちの方が子ども達に教えるのは上手だし、適してますよってのをお伝えしたかっただけなんです。

先生たちは主要教科だけじゃなく、プログラミングに英語に、生活ルールも教えて、生徒の心のケアも。。。先生たち大変すぎる。子ども達の教育を充実させるには先生たちをサポートできる体制が何より重要なんじゃないかなと思っています。(先生向け勉強会とかだけじゃなく、勤務時間、待遇などいろんな意味で。)


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