『おじさんがウキウキ二人乗りする自転車にひかれた』話。
仕事帰りの夜道、信号が青に変わり、横断歩道を歩いていた私に、赤であるはずの車道をまあまあな勢いで進んできた自転車。
ぶつかる!!
と、思ったものの、どちらによければぶつからないのか迷って動けない私に、予想通り自転車がブレーキをかけながら突っ込んだ。
地面に倒れ込んだ私に話しかけてきた自転車の相手は、40代のおじさん二人。
そう!!
私は40代のおじさんが、ウキウキ二人乗りしている自転車にひかれたのだ。
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まず、私は無傷。
驚きはしたが、特に痛いところも無かった。
確かに危険な行為だが、今日私が書き留めておきたい事は、おじさん二人のモラルだとか、マナーだとか、ルールだとかそういういった類の事ではない。
地面に倒れ込んだ私に、おじさん二人は
本当に申し訳なさそうに
「大丈夫ですか?申し訳ない…申し訳ない。本当に申し訳ない。」
と、何度も何度も謝った。
「大丈夫です」
と、私が言っても、何度も何度もそう言った。
歩いて立ち去る私が振り返らなくても、私の背中に何度も何度も謝る声が聞こえた。
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こういう事が起きた時、腹を立てる人もいるだろう。
だけど私はそうではなかった。
ぶつかったのがお年寄りや子どもなら、相手もおじさん二人もケガをしていたかもしれない。
ぶつかったのが、丈夫で健康な私でよかった。
おじさん二人は、どこかへ行こうとしていたのか、それとも楽しい時間を過ごした帰りだったのか。
それは分からないが、あんなに何度も私に頭を下げて謝って、少なくとも楽しい気分ではないだろう。
私がもう少し笑顔で
「ほらケガもしてないし、本当に大丈夫ですよ。
おじさん達にもケガがなくて良かった。
でも、気を付けてくださいね!」
って、もし私がそう返していたら、
おじさん達にとっての今日は、もう少し良い日であったのではないか。
本当は振り返ってそう言えばよかったのに、私はその場を立ち去った。
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とは言え、危険な運転を許してはいけない。
ケガ人が出なかったからこその今である。
人は間違うこともあるし、気が緩んだり、自分に甘くなったりもする。
だから互いに気を付け合って、優しい気持ちを持ってなくちゃいけない。
今日の私は、自分が大丈夫である事しか伝えることが出来なかった。
これがきっと今の自分だろう。
どんな時でも、もっと相手に関心をもって接するようにしよう。
例え相手が間違っていても、どんな状況でも、目の前の相手を気遣うことができる人になろう。
目の前の人にとっての今日が、良い日になる様に、私が出来ることはやろう。
2020年11月の仕事帰りに自転車にひかれたら、自分にも相手にも少し優しくなれる力を手に入れた、ラッキーな私が書いた記録。
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