【福島県】今月のわだいー国見町長選直前 町民に聞く「町の課題」(2020.10月)
任期満了に伴う国見町長選は11月3日告示、同8日投票の日程で行われる。9月末現在、立候補の意思を固めているのは新人で町議の佐藤孝氏(64)と松浦和子氏(71)、新人で前町総務課長の引地真氏(60)の3氏。現職の太田久雄氏(70、2期)は引退を表明している。
佐藤氏は宮城県立白石高校卒。元連合福島副事務局長。昨年5月の町議選で初当選し、現在1期目。
松浦氏は宮城県立白石女子高校(現白石高校)、三島学園女子短大(現東北生活文化大短期大学部)体育科卒。町体育協会長などを歴任。2015年の町議選で初当選し、現在2期目。
引地氏は東北学院大法学部卒。町総務課長のほか、生涯学習課長、公民館長などを務めた。
3人とも国見町出身。今後選挙が近づくにつれて、争点が明確になると思われるが、町民は新町長にどんなことを期待しているのか。
ある年配男性の町民は「道の駅国見 あつかしの郷」の経営状況改善を要望する。
「観光客でにぎわっているかもしれないが、町産品の割合は少なく、普段の買い物や食事などに利用しづらいので町民はあまり足を運んでいません。コンビニの利用状況も芳しくないようです」
運営会社の国見まちづくり㈱によると、昨年度の年間来場者は153万人。売上高は6億3841万円、当期純利益は799万円で減収増益だった。同社は町出資の第三セクターで、町は指定管理料を支払い、職員を出向している。それだけにさらなる業績アップを求める声が多い。
商店主が訴えるのは、商店街のにぎわい創出だ。
「道の駅や国道4号沿いの商業施設はにぎわっているが、商店街はいつも閑散としている。打開策を示してくれることを期待したい」
このほか、「公立藤田総合病院は施設・機器とも立派だが、医師不足で限られた曜日しか診察してもらえない。もっと充実してほしい」(年配男性)、「後継者不足が深刻な一方、創業者支援も十分とは言えない」(中年男性)、「せっかく伊達市にイオンモールが進出するのだから、町内で〝ついで買い〟してもらえる準備や企業支援をいまから進めておく必要がある」(若手経済人)といった声が聞かれた。
複数の人が今後の課題として指摘したのが人口減少だ。福島県現住人口調査月報によると、8月1日現在の人口は8736人。2010年8月1日現在1万0158人から1422人減っており、隣接する桑折町よりも減少ペースが速い。
都市部への人口流出を抑えつつ、町外からの移住者を増やすためには、企業誘致や子育て世代への支援策などに注力して、住みやすい環境を作っていく必要がある。これらを現実的かつ具体的な施策に落とし込み、着実に実行していくことが新町長には求められる。
町長選と同じ日程で町議選再選挙も行われる。昨年5月に告示された国見町議選は定数12に現職8、新人2の計10人が立候補し、定数に満たない状況で無投票当選が決まった(本誌2019年7月号「国見町議選『定数割れ』はなぜ起きた」参照)。この間2人欠員の状態が続いており、今回、ようやく再選挙が行われるわけだが、前述の通り、町長選に2町議が立候補すれば、さらに2人の欠員が生じる。合計4人の欠員が生じることになるわけだが、果たして成り手は見つかるのだろうか。
ある意味、これも同町が抱える大きな課題であり、町長選とともにその結果が話題を集めそうだ。
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