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MMT理論を考える 2 税金をどう設計するか

MMTにおいては税金は「貨幣を流通させる」「物価を調整する」の二つ役割担っている。従来のような「財源」「富の再分配」といったような役割は持っていないと解釈してよいだろう。

税に対する認識の大転換が必要であるが、これは現在の複雑かつ細分化された税の種類を大幅にリストラするということでもある。これを考えたい。

現在の税金といえば「法人税」「所得税」「固定資産税」「相続税」「消費税」「自動車税」「ガソリン税」「たばこ税」などがあげられる。この中で物価調整効果が一番強いのは消費税のように思われる。物価調整するためには消費行動を調節するのが一番効果があると思われるからだ。その観点からすると法人税、所得税は消費ではなく収入に対する課税なので真逆であるし、自動車税やガソリン税、たばこ税は財源としての性格が強いのでMMT理論の範疇から外れる。
また消費税はいまや税収内訳で最大となっており、貨幣の市場からの引き上げ効果も非常に大きいことがわかった。

固定資産税は難しいところであるが、経費負担で買い占めを防ぐという意味では意味があるかもしれない。

ただ、現在の消費税をそのまま当てはめることはできないと思われる。というのは現在の消費税は財源として機能しているからだ。よってモデルチェンジを図らねばならない。外国人旅行者への免税や輸出企業への還付などは廃止を検討してもよいと思う。
また、貨幣の引き上げを消費税メインを行うことになると景気過熱時には相当の税率になる場合もあるため、食料品には課税しないか、欧州のように品目ごとに細分化した税率を設定する必要がありそうだ。

税率は景気によって上げ下げするわけだが、それをどのタイミングで行うかの設定が難しいように思う。レジや会計システムなどの税率調整は現在はそれなりの手間とコストがかかっており、頻繁な変更に対応できるとは思えない。
そもそも税率をどのくらいに設定するのが適切なのか、ある程度データが取れるまでは物価をうまく調整できない可能性もある。

今回MMT導入時における税の設計を考察してみたが、なかなかにハードルが高いと感じた。税率の変更に柔軟に対応する会計システムの実現が最低条件となるだろう。


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