【レビュー】 アルバム 『Wonderful world』 に見るASKAの歌詞に関する一考察
昨年末、ASKAの3年ぶりのニューアルバム『Wonderful world』がリリースされた。
この記事では、いちファンとして、メロディーではなく「歌詞」に焦点を当てて考察してみたい。
その前に、昔から振り返ってみよう。
ストレートな表現で「愛」や「勇気」を歌い、CHAGE & ASKAとしてセールス的に頂点を極めた80年代後半から90年代前半は過ぎ、ソロ活動が増えた90年代後半から2000年代初めにかけて発表された曲の歌詞は、芸術的・哲学的でレトリックに富み、ともするとどこか常人が近寄り難い凄みがあった。
それが、あの事件やCHAGE & ASKAの脱退を経て紡ぎ出されるASKAの歌詞はどうだろう。
では『Wonderful world』を覗いてみよう。
もちろんこれらは一つの入口に過ぎず、そこからテーマは深みを増していくのだが、日常生活の中で「あるある」と共感でき、ASKAを近くに感じられる歌詞が増えたように思う。
そして「苦悩」や「弱さ」「心の叫び」が見え隠れする。
しかし、これらの歌詞には続きがある。
程度の差はあるにせよ、同じように悩みを抱えながら、それでも前を向いて日々を生きている。
『Wonderful world』の歌詞から、そんな等身大のASKAを感じるのである。
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