るりとして。涼として。
私のことを「るり」と呼ぶご利用者がおられます。本当は違う名前なのですが、私が姪御さんと重なっているようです。出勤して挨拶をすると「昨日もその前もおらんかったんやろ。体調崩したんか思って心配したんやで」と手を握ってくれます。認知症が原因で記憶することが難しい時もあるのに、私が連休だったことをしっかり覚えてくれていた事に驚き、嬉しくも思いました。
このご利用者は過去の悲しい思い出がよみがえり突然怒ったり泣いたりと気分のムラがあります。そんな時、私は隣に座りながら話を聞いたり、エプロン配りやシーツの交換を手伝ってもらったり…と一緒に時を過ごします。
「寂しいなぁ、辛いなぁ」
という思い出を話して少し気持ちが落ち着くと
「るりが嫁にいく時はえぇ着物を買ったるからな」と眉毛をハの字にして笑ってくれました。
認知症のあるご利用者は感情のまま真っすぐに私たちへ接してこられ、時にそれは大きな愛情であることも。出勤したら「おかえり」と迎えてくれる温かさに私はいつも支えられています。
私にとって清華苑は職場ですが、ご利用者にとっては生活の場です。特別なことはできなくても、ご家族と他人の間である介護士として、毎日のケアの中で温かさを届けられたらいいなぁと思っています。
特別養護老人ホーム 清華苑
介護員 橋爪涼
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