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愛する妻へ

 奥様は入所中のA様の様子について、職員から直接話を聞きたいと希望があり公共交通機関をいくつも乗り継いで施設まで来て頂いていました。

 本当はA様の様子を直接見て頂きたいのですが、コロナ禍で本人様と家族様の面会ができない日が続いています。携帯をお持ちではないのでビデオ面会もできませんでした。

 どうやったらご本人のお元気な姿を見て頂けるかと考え、リハビリで平行棒を往復するまで状態が改善していたしていたので、平行棒での訓練の姿と「奥様へ写真を送るので笑って下さいね」と言うと、しっかりと両足で立ち満面の笑顔でカメラに手を振るA様をパシャリ。

 後日、施設職員と奥様との面談のため施設に来て頂いた際にそれらの写真をお渡ししました。元気そうな姿を見て大変喜んで頂きました。後日、奥様より、施設ケアマネ、相談員、リハビリ職員へA様が元気で過ごせていることに対しての感謝を述べられた絵手紙を頂戴しました。

 早く直接会って頂きたいのですが緊急事態宣言の延長もあり面会がいつできるかは目処がたたず。A様は昔、本を書いていたこともあるので手のリハビリも兼ねて、A様から奥様へ手紙を書いて頂きました。

 その手紙には日頃からよくA様が言葉にされている「日本一のわが妻、愛しているよ」と書いてありました。数日後、その返事として奥様がA様宛へ手紙が届きました。

 その手紙の裏面には「何十年も前、手紙を書くのが好きな私にと、あなたからプレゼントしてもらった便箋がでてきたのでお返事を書いてみました」と添え書きがありました。
 
 A様に奥様からの手紙を読んで頂くと「返事を書こうか!」とすぐ鉛筆を手に愛する妻への思いをしたためて。

老人保健施設 清華苑養力センター
松浦裕一


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