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生徒たちの日常を彩る卒業生による芸術作品

情操教育を大切にする成城学園のキャンパス内には歴史的にも貴重な芸術作品が数多く展示されています。中には学園の卒業生による作品も。広報誌『sful-成城だより』の裏表紙「一枚の写真」でこれまでに掲載した記事から、中学校高等学校に展示されている、芸術作品をご紹介します。

『Lancetta 』

初めてみた人は「これは何?」と驚くかもしれません。高さ約4メートルにも及ぶ作品です。
2013〜2016年度の卒業生と父母の会からの卒業記念品として寄贈され、中高一貫校舎の地下1階、コリドー先のドライエリアに展示されています。
作者は中学校の卒業生で、イタリアと日本で活動する彫刻家の高橋智力さん。
作品タイトルは、イタリア語で「羅針盤の針」を意味する「Lancetta(ランチェッタ)」。「自由な発想を大切にしてほしい」という高橋さんの思いがこめられており、見る人、見る角度によって感じ方が変わるような仕掛けが施されています。
まっさらな美しさを表現するために、作品を白く塗ることにこだわったそうです。
サイズは、横1850ミリメートル、奥行き3300ミリメートル、高さ3990ミリメートルの大作です。素材はアルミニウムとステンレスを使用。
イタリアで7カ月間かけて制作され、船で輸送されました。
(2017年発行 Vol.9「1枚の写真」より)

『朝陽の中で』

中学校高等学校校舎の001教室前に、『月華洗菜』と『山河月光』『朝陽の中で』という3枚の絵画が飾られています。
これらは日本藝術院会員で、現代の日本画家を代表する福王寺一彦さんの作品です。
福王寺さんは日本画の大家である福王寺法林さんの次男で成城学園中学校高等学校の卒業生。2016年、中高新校舎の完成を祝って3点の絵画を寄贈してくださいました。
なかでも『朝陽の中で』は「緑の多い、成城の雰囲気に合った絵画を」という母校への思いを込めて描き下ろされた作品。
「盆地をつつむ山々の 東から太陽が昇り 全てのものが輝き始めました」とキャプションが添えられ、大木の横には朝陽を見つめる女性のうしろ姿が描かれています。
「充実感にひたりながら見た、学園内の森のなかに差し込む月明かりの美しさが、現在の作風の原点」と語る福王寺さんの作品の世界に是非触れてみてください。
サイズは縦811ミリメートル、横1622ミリメートル 。
(2016年発行 Vol.8「1枚の写真」より)

文=sful取材チーム 写真=岡村隆広(朝陽の中で) 尾嶝 太(Lancetta)
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