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南日本新聞コラム/第1回

鹿児島の地元紙「南日本新聞」にてコラム欄「南点」で連載を担当こととなりました。7〜12月の半年間、2週間に一度水曜日に掲載されます。南日本新聞を購読している方はぜひご覧いただければと思いますし、こちらのnoteでも掲載内容全文を転載いたします。

第1回/テレワークの波が到来した春

今なお続くコロナ禍の影響で注目を集めた働き方に、テレワーク(在宅勤務)があるだろう。導入する会社は多くない印象だったが、この春の外出制限の中、在宅で仕事を進められるインターネット技術もあって一気に定着した。Zoomに代表されるオンライン会議システムの操作に初めは不安を覚えた人も、すっかり慣れたのではないだろうか。

私の仕事は、依頼から制作・納品まで一度も会わずに進めることが多い。この春はずいぶん減ってしまったものの、いくつか受けた仕事では、依頼者宅とつないでズームをよく利用した。複数人でもストレスなく話せたり、画面を共有しながら打ち合わせができたり、録画できるのも便利である。犬の鳴き声が相手に聞こえるのもご愛嬌。

有名な大企業がコロナ終息後もテレワークを推進するというニュースを目にし、一時的なものにとどまらないワークスタイルの変化を予感した。ウイルスと共存する社会に向け、都市部ではオフィスの縮小化や郊外移転も進んでいるようである。在宅ワークには、育児やプライベートの都合バランスを取りながら働け、自身の専門キャリアを途切れさせない利点がある。

似た言葉でオフィスを持たずに働く「ノマド(遊牧民)ワーク」がある。カフェでパソコン作業するといった短期だけでなく、拠点を移しながら仕事をこなす中長期的ノマドも増えてくるのだろう。内閣府の調査によると、テレワーク経験者のうち4人に1人が地方移住への関心を高めているという。回線の環境整備など課題もあるが、自然豊かで食べ物のおいしい鹿児島も、きっと興味の先にあるはずだ。徳之島に住みながら、県外の仕事を行うのは僕も実践中。

人類がオフィスに集まって働く歴史は浅く、古くはほとんど自宅で仕事をしていた。過去のワークスタイルへの逆行とも言えるのに、新たな在宅勤務の流れには、不思議と未来を感じてしまう。

(2020年7月8日 南日本新聞掲載)

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