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YUIのmy generationの歌い出し、切れ味が百人一首

最近聴いてるYUIのプレイリスト。my generationという曲の歌い出しで「グランドに吹いた風を 小さな窓から吸い込んでため息」というあまりにも美しく眩しい日本語が出てきたもんだからひっくり返ってしまった。10代の憂鬱を一気に吸い込ませる文章だ。夕暮れの軽音部の窓から外を眺めるYUIの横顔すら伝わってくる。


もし私だったらどういう歌詞を書くだろうか。

多分「放課後グランドを眺めながら、教室でため息を一つついた。」くらいかな。つまんない文章だね。状況は伝わるけれどもYUIの横顔は浮かんでこない。やっぱり、ここは「グランドに吹いた風を 小さな窓から吸い込んでため息」以外あり得ないのである。


しかし、百人一首のように研ぎ澄まされた文章だ。刀だよね、もはや。私がカッコ良いと思う文章のお手本そのものである。

思うに、私がカッコいいと感じる文章は「点」で書かれていることが多い。

例えば、エンジニアの私は「線」で文章を書くように気をつけている。情報に過不足なく、個人の解釈もなく。「線」を辿れば基本的に誰でも同じ情報が伝わる。論理は通ってはいるが、大抵文が長くなるし、読んでいて面白くはない。

それに対して私の好きな文章は情報が「点」で書かれている。

点と点の行間を脳が勝手に補完する。普段使っていない部分が勝手に動くことで気持ちがいい。これが私が感じるかっこよさの正体である。

ただ情報を削って書けば良いのかというとそんなわけはなくて、次にどの点へ飛べば良いかがわからないと読んでいてイラついてくる。私の過去の文章が大体そんな感じだ。今もだけど。良い文章の点はちゃんと見えない一本線の上に乗っているのだ。

ってなわけで良い文章は作家の言語の巧みなバランス感覚があってこそ生まれるものなのである。

YUIがmy generationを書いたのが20歳ってんだから、もう恐れ入るしかないわな〜〜〜〜〜〜


(所要時間26ふん)

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