さらば可哀相で可愛い私のモルカー
モルカーがリアルタイムで大ブレイクしていたころ、モルカーへの愛が創作欲となって発露し、人生初の羊毛フェルトに挑戦したことがあった。
羊毛フェルト自体をよくわかっておらず、粘土のようにフェルトをこねればモルカーが出現するものと思っていた私は、羊毛の板がぎちぎちに詰まったキットを見て戦慄した。
羊毛フェルトとは、いいですか羊毛フェルトとは、羊毛の塊に針を突き刺すことで毛が絡まって若干硬くなることを利用し、何千回もの突き刺しによってふわふわの毛の塊を人形に変えていくという実にガッツを必要とする遊びだったのです。何が難しいってどれくらいの羊毛の塊をどれくらい突き刺したらどれくらいのフェルトになるのかが全く推定できないところだ。モルカーの鼻を作ろうにもどれくらいの羊毛をつけたら良いのかが全くわからない。
当てずっぽうの分量を用意された私のモルカーは、案の定、割と早い段階で着地点を見失い、修正が効かない状態となった。
見てくれ。これでも数時間写真と睨めっこして一生懸命頑張ったつもりだ。見せた友人には大爆笑された。
そして一緒に大笑いして創作欲を発散させた私はこの可哀相で可愛い我がモルカーをそっと引き出しの奥にしまったのだった。
(所要時間17分)
頂いたお金でグミを買います。グミを食べると人に優しくなれます。私を優しい人間にしてくれてありがとうございます。