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ついと風が吹いてきて街路樹の残りわずかな葉を揺らす。
目を細めマフラーで口元を覆う。
向こうからころころ、ころっと赤くて丸い何かがやってくる。

「ちょっと待って」

彼女のブーツのつま先に当たってそれは止まった。

「侘助(わびすけ)ね」
「うん」

僕らは今年も心静かにやっていかれるのだろう。


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