小説書きのエアフォース ONE
すごく昔の映画ですが、「エアフォース・ワン」という映画がありました。調べてみたら1997年の作品だそうです。
ストーリーはテロに屈しない大統領が乗っ取られたエアフォースワンの中で単独で戦うというカッコ良いアクション作品でした。お話はけっこういろいろあってそれはそれで面白いのですが、最も注目すべき、そして最も印象的なのはエンディングです。もちろんこれは私が勝手にそう言っている事なのですが。
そのエンディングですが、大統領の乗ったエアフォースワンは大破して墜落寸前ですが、そこに救出に向かったのがリバティ24(飛行機の識別コールサイン)という軍用機です。空中を飛びながらの救出は困難を極めます(すごくハラハラします)が、どうにか救出に成功します。(ほっとします)
さて、いよいよこの後です、注目すべきなのは。救出に成功したリバティ24の機長はホワイトハウスに無線で救出成功の連絡をするのですが、「大統領の救出に成功しました」なんて普通の事は言いません。
「ただ今より『リバティ24』はコールサインを『エアフォースワン』に変更いたします」と言うのです。これを無線の向こう側で聞いていた人たちは意味がわかって狂喜するわけです。
カッコイイですよね。こういうセリフの使い方ってアメリカ映画には時々あると思いますけど、使ってみたいですよね。
登場人物(の一部)にだけわかる言葉での印象的にやり取りを描写するのです。私生活でもそういうのはたまにしますし。観客や読者はそこに入り込んでいるわけですからもちろんわかります。長々と説明したりしないで短い隠語のようなものを共有する方法です。
実はバイデン大統領が来るとか来ないとか知る前に、ちょっと書いていたのがあります。だいたいこんな感じです。
康代が恵子に噂話を伝えます。
「(恵子が気になっている)タカオに最近女ができたらしくて噂になってるよ」
その後、その女が同級生で男を自由に扱うのに長けている秋絵だとわかり、康代と恵子は気が気ではありません。康代はあの秋絵の事だからタカオを誘惑してしまってタカオはもう秋絵のものになったのではと疑います。男なんてそんなものよ、と。でも、恵子の考えはちょっと違います。あのタカオがそんな誘惑に負けるなら、これまで見たタカオとは矛盾するのでおかしいと思うのです。
そこで、康代は秋絵に会って本当の事を確かめたい秋絵に会いに行きます。対決みたいなものです。そこで康代が聞いたのは、確かに秋絵はタカオを誘惑していたのですが、タカオは振り切ったという事でした。もちろん秋絵のプライドは傷つきましたが秋絵にも得るものがありました。(今は秋絵の事は置いておくにして)
そして、康代はすぐに恵子に電話します。(ラインか?)
「恋する女の完全勝利よ」と。(実際のセリフはちょっと違いますが)
康代の予想は外れていて、タカオの事を好きでずっと思っている恵子の予想の方がどう見ても確率は低かったはずなのに当たりだったわけです。
それで、電話(ライン)の向こう側の恵子の事はお話では何も書きません。読者が頭の中でどうなったか思い浮かべてもらう方がより良いですから。