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物語のネタ(実体験) 長距離バス中で

 物語を書く時に、エピソードのネタはどこから手に入れますか? 私は、たぶん皆さんもそう違った事は無いと思いますが、1) 他の小説、ドラマ、映画をヒントにしてアレンジ、2) 適当にヒネリ出す、3) 実体験を元にする、あたりではないでしょうか? 芸人さんは昔、○○は芸の肥やしと言って多少悪い事などもしていたそうですが、我々一般人はそうはいきません。何かする人もいるでしょうけれど。私なんかはあまりしない方なのでネタは多く無いと思います。

 今日、バタイユのようにエッチな場面を1つ書いていました。エッチな場面は実生活の中でそう多くあるものでもないのでネタ切れは必至となってしまいます。でも、今日は忘れていたある出来事を思い出してそれをアレンジして書く事ができました。ちょっとだけ紹介しましょう。

 あれは、インドネシアのジョグジャカルタから長距離バスに乗った時でした。長距離バスは夜に走って翌朝に目的地に到着する物が多いのです。なので走りながら車内で寝る事になります。その日のバスもそんなバスでした。バスは観光バスタイプで運転席の反対側にドアが1枚あるだけでそれ以外は全部座席です。インドネシアのバスですからバスはボロですし、運転手と車掌がどこかで借りて運航して出来高で儲けを出すような経営らしく、時刻表に従うのではなくてできるだけたくさんのお客を乗せて、そろそろ良いかなと思った時が出発時刻になります。

 ですから車掌は出入り口で大声でお客を呼び込みます。ライバルより目立たないといけません。そもそもなぜ長距離バスを使う人がいるかと言うと、安いからです。飛行機で飛ぶ距離でもバスを使う人がけっこういるわけで、つまりは貧乏人でも長距離移動する人がいるのです。中にはお金なんて全く持ってない人もいます。いろいろ事情があるのでしょう。けれど、そんな人も移動しなければならない場面があるのです。

 私が乗った時にも1人、お金が無いけれどもバスに乗りたい人がいました。女性です。その人は呼び込みしている車掌のところに行って交渉していました。女性は化粧濃くしていて服装は少し派手でした。つまり、普通の街で見るタイプではありませんでした。たぶん娼婦だと思います。となれば、交渉の中身は想像できます。夜行バスで皆が寝たら・・・

 結果はその通りでした。車掌は後ろの方の空いている席にその女性を座らせておき、消灯になってからそこへ行きました。私からは暗くてよく見えませんでしたが、動きはそのものです。車掌はズボンをずらして前を広げ、隣に座った女性は顔を近付けて動かしていました。低く声がしてきました。

 人にはいろいろな事情があります。身体を張って生きていかなければならない人もいます。特にインドネシアのような国ではそうです。バスの時とは別の時に娼婦の女性に話を聞いたことがありました。(その人には申し訳なかったのですが、買いはしませんでした。)

 その人は地方の村から都市部に出てきてデパートに勤めていたそうです。仕事には問題は無かったそうです。けれども、同じ職場でお付き合いしていた人に、実は奥さんがいた事がわかってしまったのです。お使いしていたというのはたぶん深い関係だったと考えられます。その人はショックを受けてデパートと辞めたそうです。

 そうした事情で仕事を突然失ってしまうと場合によっては次の仕事までの間にお金が無くなります。地方出身ですと田舎に送金もしていたでしょうから持ち金は少なく、頼れる知事もいません。手っ取り早いのはやはり身体を売る事です。そして抜け出せなくなるのでしょう。少し面積のある広場のようなところに簡単な小屋が幾つも並んでいて、正面の開いているところに座ってお客をずっと待っています。あの人がその後どうなったかは知りません。

 エッチな体験と言いつつ、ちょっとしんみりになってしまいましたね。





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