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演説原稿⑧<テーマ:ここに希望あり>―2020年11月10日@西神中央駅前

こんにちは。今泉まおです。

今日は、雨の中多くの方にお越しいただき、本当にありがとうございます。
ひとつ行動を起こしてくださいました。皆様とお話しができること、私は本当に嬉しいです。今日は三木や加西からも来てくださっている方がいる。私の活動地域は、神戸市西区、西脇市、三木市、小野市、加西市、加東市、多可町です。

私、今泉まおは昨年政治家になりました。それまではいわゆる政治家を目指して人生を歩んできたわけではありません。

30年ほど前、私は宇や生物、音楽が大好きな、好奇心いっぱいの子供でした。
そしてその好奇心のまま、大人になり、科学、文化芸術に触れるお仕事をしてきました。
昨年までは、「科学コミュニケーション」の分野で仕事をして、宇宙開発や先端医療といった先端科学の知見に触れ、専門家に取材をし、観客とを含む多彩な人々と共に、持続可能な未来を考える場をつくってきました。まさにいま、学術会議で問題になっているような研究者たちです。具体的には展覧会やイベントをつくってきました。
科学技術や文化芸術。これは10年、100年という単位で、社会の持続可能性を高めるものです。そして「いま、ここ」も輝きます。

しかし、2020年のいま、みなさん、未来を考える余裕がありますでしょうか? 新型コロナウイルスの感染拡大において、自己責任の社会の行き詰まりは明らかです。

私が政治家になったきっかけは、5年前に子どもをもったことでした。
子どもをもち、変わったことがあります。一つは、自分が仕事で考えてきた「未来」を実感したこと。
もう一つは、この社会の不具合に、目をつむれなくなったこと。
初めは小さな疑問でした。 どうして?
どうして、出産にこんなに費用がかかるのか。補助金が出ても通院から実際の出産まで、20万円もかかったりする。
どうして、保育園に入るのに、それぞれの子どもにあった場所を選べばよいはずなのに、泣きながら他の人を蹴落とすような大変な思いをしなきゃいけないんだろ。
どうして、育児と仕事の両立がこんなに大変なのか。
どうして、高等教育に進むにも奨学金という名のローンをこんなに抱えている人がいる。
どうして、介護施設を探すにも長い待機列、一部の財政的に豊かな人だけがなんとか自分の望む暮らしを何とか選ぶことができる。
どうして、仕事をしてもしても経済的には厳しいの?
私は長年非正規雇用です。でも、自分がすきなことをしてきたからしょうがないと思ってきた。でもそれは違う。社会構造のせいなんです。

あなたの日々はいかがですか? 生きることが重くはありませんか?
生まれてから年を重ね、人生では想定外のことが起きる。誰しもが経験する生きるということがこんなにも重い社会になってしまったのはどうしてでしょうか。

私は、この国で子どもを育てていきたいだろうか? と疑問をもちました。

それから、首相官邸前のデモに参加したりして、疑問を行動に変えていきました。それはやがて憤りになり、2017年、立憲民主党の結党では、演説を聞く一人の群衆でした。
立憲民主党が、女性候補者を募集しているというニュースが目に飛び込んできました。
私自身が、行動を起こして変えられるかもしれない。

母には言われました。
「あなたがやらなくても、よいじゃない」「子どもはどうするの?家族が大変なことになる。」「誰かがやってくれるわよ。」

でも、誰かはやってくれません。
だって、気づいたのは私なんですから。
もちろん家族や子どもは大事です。犠牲になんて絶対したくない。でもだからこそ、行動しなくては。
私はこの社会の抑圧が見えています。見えているならば、それを振りほどくことができる。
変化を起こすことができる。

この国には、様々な課題があります。進む少子高齢化。
少子高齢化の中で公共サービスのコストが肥大し、支えられなくなって、自分でなんとかしてよ、と言われる社会。
格差は拡大し、若者の貧困が進み、子育てや高齢になった時の負担も大きく、生活に困難を抱える人々が増え、公正さが失われています。
生活保護の受給率、200万人以上です。バブル崩壊1995年以降に伸びはじめ、今は戦後の貧しかった1950年代と同じなんですよ。
そして自然との共生は生きるために必須であるのに、地球環境に対する抜本的な対策がとれていない。今年もたくさん集中豪雨がありました。地球環境は、生存の課題です。
短期的な経済効果が優先され、結果として国際的な競争力も落ちている。
「失われた30年」の中で企業の規制緩和、法人税の緩和、公共サービスの民営化が進められてきた。
これまでの政治は、大きなものに投資をして、そうすれば小さなものも恩恵に預かれるという考え方でした。大企業が成長すれば、そこに働く個人も豊かになる。
駅前開発や高速道路、大きな都市にお金が集まれば、その周辺の地方も再び活性化する。

でも結果から見れば、行き詰まりは明らかです。
地方は置き去りにされている。
企業は内部留保にまわり、私たちの実質賃金はあがらなかった。
非正規雇用が増え、不安定な中、子どもをもつことを思いとどまっている。
企業が悪いわけではないはないんです。経営者ならば当たり前。社会の構造がいけないんです。

強いものがより強くなり、弱いものが置き去りにされる政治を変えなくてはいけない。
生き方が多様化している今、このモデルで行われてきた政治はもう過去のものです。
これまでの構造で強くなったエリート男性ばかりに政治をまかせていてはいけません。
もっと多様な声を、女性の声を、これまで政策の意思決定の場に反映されなかった声を届けられる政治家が必要なんです。私はそういう政治家として全力をつくしたい。

私は、のびのびと自信をもって子どもを育てていける環境をつくりたい。
文化的に成熟し、発展すると信じられる、可能性のある国に暮らしたい。

ここ兵庫でも、たくさんの声をききました。
・新しい担い手が欲しい、将来の見通しが見えないよ、と語る農家さん。この美しい田園風景をさせている、個人事業の65歳以上の農家の方々が放っておかれている状況です。
・街とともに年老いていく不安を語られる、ニュータウンにお住まいの方。
・1月7万円だけで年金だけで生活がくるしい、と語るご高齢の方。
・ここには何にもないんです、と謙遜される方々。
・仕事がない、若者が戻ってこない、経済的な見通しがもてない…

公正さが失われた中では努力が報われない。これは大きな問題です。私が触れてきた、未来に向けたたくさんのアイディアも、本当に必要なところには届いていないと感じています。

でも、希望ある声も
一方で、兵庫県の、この地に日々を暮らし、私は思います。
ここには、この国に変化を生むための、希望があります。
この地にある課題と向き合い解決することは、日本の希望でもあります。

例えば、こういう方々に出会いました。
・都市近郊型の農業で、小規模でバラバラの種類の野菜しか作れないという弱みを強みに変えて、地域の個性ある野菜でブランドをつくり、ニュータウンに配達し、地域循環型の新しい農業を始めた方。
・子どもも、育児中の人も、介護を抱えている人も、高齢者も、みなが自分が参加することで居場所になるような場所をつくりたいと、家から子供だけて歩いて行ける場所に、欲しいと思ったら自分がつくろう!と地域のコミュニティスペースを立ち上げた方。
・高齢者同士で助け合わなくてはいけないのだったら、自分たちがいきいきと、遠慮せずにお互いに助けてと言いあえる地域づくり、ネットワークをつくろうと奮闘される方
・ここだけにある技術を世界に向けて発信をしたいと、地域に生まれ育った若者として、自分たちの手で伝統産業の新しいブランドを立ち上げ事業をはじめた方々
さらに、私は、この西区近郊、ニュータウンには可能性があると感じています。
循環型の新しい暮らしができる。
都市と農村地域がこんなにも近接している地域は中々ありません。
全く異なる生活圏が隣り合っている。直売所も多いですね? ここから車で5分いけば、農村地域です。
この地域には、小規模循環型の、持続可能な新しい暮らし方が出来ると思います。

日本には、この地には、培われた技術や魅力的な文化、清潔な環境に美しい風景、自然環境の恵み、地域の支え合いなど、豊かな蓄積があります。
その蓄積をいかす一人ひとりの力があります。それは大きな希望です。

その力を発揮できる平等な機会をあたりまえにするのは、政治です。
まず、一人ひとり、個人が心身共に健やかであることが大前提。
生き生きとした個人が寄り集まり、個人も企業も、それぞれの地域の役割の中でつながりあった営みこそが、力強い発展を生みます。
個人が健やかで、人々が集まったところに文化や経済が生まれていく。大きなお金は後からついてきます。

私は思います。
今こそ、暮らしを守るためにも、この地域の希望を発展へとつなげるためにも、政治を変えなくてはいけない。社会構造の転換が必要なんです。


自己責任から、生きることを支える社会へ。
大規模な一局集中から、小規模な自律分散型へ
短期的な利益を生み出すモノ優先から、長期的な展望ある、人と未来、文化へ投資する社会へ。

個人や地域にこそ、新しい技術や政策を取り入れて、それぞれが健やかに日々を過ごせる基盤をつくりましょう。
一人ひとりのその場から、地域から育まれる文化・経済を支えましょう。
この地域の自然環境と産業を守りましょう。
これは日本にとっての未来の希望なのです。

私は、今の暮らしを守るためにも、いまこそ、変化をうまなくてはいけないと考えます。

この地には、この国には、一人ひとりの力があります。
一人ひとりの足元から育まれる文化や経済があります。
私は政治家として、あなたのことを応援したい。
この地にわきあがる、希望。それはあなたです。

私は、今ある希望を、日本にとっての希望に、力強い発展につなげられると確信しています。
あなたはどう思いますか?
一緒にこの地から、はじめませんか?

ありがとうございました。