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もう開発しなくて良いよ。Vol.38

数々の大ヒット商品とヒット商品。
2,000品を越える商品開発。
開発途中でとん挫した商品は20,000品を遥かに越える。
それまでの仕事や調査は全部、無駄になる。
商品開発は最終的にやっていることの90%は無駄だ。


とん挫する理由はいっぱいある。
原料調達がうまくいかない。
値段の折り合いがつかない。
工場が味を追求しきれない。
1回の製造量が多すぎる。など。


「無駄なことなんて何1つない」
なんて気休めにもほどがある。無駄なものは無駄だ。
やった人にしか絶対わからない。


その裏には多額の損失をまねいた開発も多々あった。


その開発に携わったスタッフに
「もう開発しなくて良いよ」という瞬間は
冷酷なまでに低いトーンで言い放つと決めている。
じゃないと 踏ん切りがつかずいつまでもズルズルする。
「残念だけど今回は悔しいけど・・・・」なんて
言ってたら、もうちょっと頑張ろうかななんて
思わせちゃうし変な期待をさせる。
だから全員の気持ちをリセットさせるために
自分が1番、冷酷になる。


世の中にでた商品も90%が売れずに
終売をむかえる。


商品開発した商品を現場が簡単に
あきらめることも多い。
つくってから影で値段が高いだ、味がイマイチだ、パッケージデザインが・・・
あーだこーだと言われることも多い。
つくってくれと言われてつくった商品が
まったく売れないこともある。
発言した本人は知らん顔。
そして売れない理由を並べたてられる。


「じゃあお前らがつくれよ、どーせつくれないだろうが」
とおもい、スタッフ全員に商品開発の権限を渡した時期もあった。みんな最初は喜んだ。


でもいざつくりはじめると
売れないかもしれないとか
いろいろな人の意見がいっぱい出てきて
みんなビビりはじめる。
ビビらない人もいるけど気持ちが入ってないから
だいたいスケール感が小さい。


結局、最後まで開発できるスタッフは100人いても1人。


そして開発できたとしても
売れない商品を突きつけられ
大量の廃棄となる印刷袋やシール、
スタッフの販売努力は全て無駄になり
お金をかけた販促物は廃棄、
販売スタッフの冷ややかな視線などを前に
2度と商品を作らなくなる。

工場はあまった包材を突きつけてきて
買い取ってくれと迫る。
報われない努力。
努力の量と比例しない結果。
売れない時のショックがデカすぎて
続けて開発出来る人は1000人いて1人。
超絶な鈍感なアホじゃないとできない。


生き残った たった1人が自分だ笑


20年かかって
商品開発、全部、自分がやると覚悟が決まった。


そして開発と仕入れの窓口も1人に絞った。
けいた だ。何百もある工場の窓口を一本化。
最初はけいたが1人でやることに
みんな反対だったし、不安も多かった。
できるわけないとみんなおもっていた。
自分もそうおもっていた笑



「なんで けいた なんですか?」と今でも聞かれることが多い。頭が良いわけじゃないし、要領が良いわけでもない。でも間違いないのは奴の存在が
自分に商品開発を全部、
自分でやると覚悟を決めさせた。



ニューヨークに房の駅を出店させるために
けいたと2年半苦楽を共にした。
予算がないから約2ヶ月、一緒に住んだ時期もあった。
上司と部下で24時間、同じ部屋、同じ職場に
2ヶ月ってなかなかありえない笑
全ての食事がほぼ一緒笑
厳しい言葉を浴びせることも多かった。
冷たい態度で接することも多かった。
2、3日なら部下の方が気をつかうが
2週間を超えてくると
こっちの方が気をつかう笑


そして 気をつかうなんてくだらないゾーンを
超えると兄弟のように感じるようになっていく笑
その辺の言葉で表現するとしたら
「信頼」なのかもしれない。



ニューヨーク出店の想いは叶わなかったけど
2人で感じた1年に及ぶ、毎週のニューヨークのイベント販売でやますの商品に足らないもの、世界に通用するものを
体感できたのも大きかった。


だから今、やますの商品開発は
もう1度、世界に挑戦する想いもあり
過去最高にのっている💪



『諏訪聖二流、商品開発』
Vol.31-Vol.40(全10話)

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