見出し画像

嫌いな農家生産者 Vol.25

房の駅の野菜果物は全て千葉県産。
だから夏場には大根もニンジンもない。
年間 通して玉ねぎもじゃがいももない。
だからオープン当初はクレームというか
本当にいろいろ言われた。


市場に行ってバナナ買って
北海道のじゃがいも仕入れて
長野のりんごを売ろうと
考えたことなんて何百回もあった。


この葛藤はずっと続いたけど
コンセプトも何もないのに
カラダと頭がそれを拒否し続けた。


そしてナマモノを扱っていると
大きな問題がもう1つ。
品質劣化。
大根もほうれん草も
ビニール袋に入ってなければ1日でしおれる。


そのしおれた野菜をずっと捨てられなかったから
売場に品質劣化した野菜がいつまでも残っていた。


捨てられなかった理由は簡単だ。
生産者農家まわりをして
毎朝、農家の人たちが持ってくる野菜を
農家の人たちと話をしながら並べていくうちに
情がわいてしまって捨てられなくなっていた。


中途半端な上っ面な勘違いをした優しさが
捨てさせない。
甘やかすことと優しさをイコールと
勘違いしてる1番卑劣なやつだ。


ところが山本義雄さんっていう生産者は別だった。
お茶の生産者だ。
なぜか理由もなく自分は
山本義雄が嫌いだった🙏
この生産者が持ってきたお茶だけは
ムゲに扱った🙏
売場は売れないところに用意し、売り込むことは
ゼロだった。極めつけは商品が上下逆に陳列していてもなおすこともなかった。 🙏


義雄さんごめんない🙏
(今は大好きだよ❣️)


数週間すると山本義雄さんは
お茶の品質が悪くなってきただろうからと
自主的に商品を交換しにきた。
情が入ってない自分は何ともおもわない。
また数週間するとお茶の並んでる様子を
みにくる。


歪んでる自分は
山本義雄さんが「もっと売れよ」と
無言のプレッシャーをかけてきてるとおもい
良い気分はしなかった。



そしてあるとき大雪が降った。
駐車場に無限に積もった雪。
誰一人、生産者は来ない。
お店を開けたってお客様は来ないから
当然だ。


ところが山本義雄だよ!
オープン前にトラックで駐車場に入ってきて
「雪、持っていくからトラックに積んで!」って。
一緒に雪かきをはじめた。
「これでオープンできるでしょ!頑張って!」と
言って帰っていったと思ったら
また来た‼️
「どうせ帰ったってやることないし」と
雪かきを手伝ってくれた。


当時の山本義雄さんのお茶の売上は
月たったの2500円だった。


あーーーーーーーーーー
自分、商人失格だなぁーっておもった。



富士山の頂上で叫びたい気分だった。



次の1週間、売場の位置は変わらなかったのに
売上は2万円を超えていた。
何もしていないのに約30倍以上だ。
変わったことは店長である自分の気持ちだけ。



山本義雄さんから教わった大切なことを
絶対忘れない!という想いを込めて
「山本義雄」という名の商品が生まれる。
パッケージは印刷袋で当時ではありえない
お金をかけた。
自分がはじめて筆をとった商品開発1号だ。



そして本当に気持ちが入ると
あの品質劣化した野菜を店頭から
さげることができると知った。
生産者の顔をつぶすわけにはいかないし。
そしてそこから売れ残った野菜や果物をどうするのか?売れ残らないように何をすれば良いのか?何ができるのか?20年考え続けてもなかなか特効薬的な答えはでないけど「山本義雄」という商品をみるたびに初心にかえる。


『諏訪聖二、黒字独学』
第4条 とてつもなく気持ちを込めればそれだけで売上はあがる

_______________________________________________


教科書にない赤字店舗を黒字化する10か条
『諏訪聖二、黒字独学』Vol.21-Vol.30(全10話)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?