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色盲との戦い Vol.39

「入社にあたり色覚検査をしてください」
新卒でスーパーに就職するとき
健康診断で追加項目があった。


病院に行って
カラーチャートの前で
次々と外れる自分の色感覚。
赤が緑に緑が赤に
緑と茶色の区別がつかない。
灰色とピンク、
紫色と紺色の区別がつかない。


「色盲ですね」
診断結果を言い渡された。


色?!わからない?!
わかってない?!
ほんと?!
ほんとにわかってない? 
今までずっと?
じゃあこの色は何色?
ショックでなかなか両親に言い出せなかった。


色盲と診断され 
過去に違和感を感じていた
いろいろなことに
合点がいった。



小さい頃から
焼肉がいつ焼けたかわからなかった。
履いているズボンがピンクだって知らなかった。
さしている傘が紫色だなんて。。。。。
人の顔が紅くなっているのもわからなかった。
信号機の色がわからないときがあった。
UNOをすると出す色が違うといつも指摘されていた。
笠地蔵の絵は7体とも色が違った。
太陽はダイダイ色、
土は緑、木は緑で葉っぱは黒。
街の絵を描くとありえないような色を連発した。
紙粘土で作った恐竜の色をみて母が泣いた。
先生からは色を間違えるたびにハナで笑われ
描きなおしを命じられた。


そんなことをずーーーーーーーーーーっと
思い出していた。


先生も友達も色を間違うたびに笑うだけで
両親も兄も 自分自身も色盲だなんて気づかなかった。


ハンディか・・・・。



ハンディをチャンスにしろ。
カッコいいことならいくらでも言える。
ポジティブに言うことも簡単だ。
でも現実は違う。
赤ランプと黄色のランプの違いが
わからないのは致命的だ。
紫色と紺色を間違えたらデザインは大きく変わる。
灰色と桃色は男か女かほど違う。
緑と茶色がひっくり返れば世界が変わってしまう。
肉が黒ずんでることに気づかない。
色の悪い魚にも気づけない。
ネオン街ではお店をみつけるのは
相当困難だ。


ダメなことばかりで
頭の中が完全にネガティブになりかけていた。
数日たった日に急に思い出した。



ん?!まてよ!
まった!
あっ‼️
そうだ!!!
クラスで賞すらとれなかった
レインボーの笠地蔵や恐竜の紙粘土は
色が斬新すぎて市内で賞をとった。
カラフルすぎる町の絵が千葉県で1番になった。
そしてそこから自分の絵は何度も何度も賞をとる。
悪いことばかりじゃなかった!
ハンディじゃない‼️


色盲がチャンスをくれたんだ。


そして絵を描くことが好きになったんだ❗️


それから数年後
房の駅がスタートするとき
オープンチラシをまくことを決めた。
チラシの完成間際、紙面にインパクトがないということから店のイメージキャラクターを設定することが決まった。
デザイナーに依頼してみると
あまりの値段の高さに断念した。


チラシ作成のデザイナーから
諏訪さんが自分で書いたら?と提案された。
そして房の駅のキャラクター「せいた」が
生まれた。



キャラクターは落書きみたいな絵だった。

第1回のチラシから毎月欠かさず
キャラクターの絵を描き続けた。


素人感いっぱいのチラシをお客様が許容してくれた。描き続けることで絵はどんどんうまくなった。絵に動きがでてきて躍動感がでてきた。
描き続けるといろんな仕事が舞い込んだ。
地元の自動販売機のマスコットキャラを描くことや大看板の絵などに採用されていった。


そして調子にのって絵を売った。


すると10万、20万で売れた。
おばあちゃんが
「孫が毎月 チラシを楽しみにしてるんだよ」と
言ってくれた。素直に嬉しかった一方で
絵を1度も勉強していない自分の絵が
世の中にどんどん出ていくことが
突然、怖くなった。
それ以降
絵の線は書くけど
色がわからないことを理由に
色をスタッフに塗らせた。



そしてチラシから絵が消えた。


そして絵の勉強とともに
色の勉強もすることを決めた。
絵を描いてるプロの人や
プロを目指してる人、
生活の生業にしてる人たちからみても
認めてもらう絵を描こうと決めた。
絵の線は筆になり、基本を知りながら
基本から逸脱したやり方で自分の感性を
思いっきり表現した。


そして現戦略本部デザイナーの
タカと出会った。
彼と出会い、自分の絵は
「房物語」というマンガになり
ピーナツキングや
ピーナツクイーン
絶世のいちご美女
大根役者、金太郎、梨太郎、海苔将軍など
いろいろな商品に化けた。
うちの商品開発においてもタカの絵は
絶対的な存在になった。


もし 色盲じゃなかったら
自分の絵は誕生しなかった。
賞をとらなかったら
絵を好きになることもなかった。
もし絵を描くことが怖くならなかったら
勉強もしなかった。
勉強をしていなかったら
タカとの出会いに気づかなかった。
もしタカと出会わなかったら
今の商品デザインは生まれなかった。


自分の目からは
みることができない色の世界だけど 
色盲というハンディが
自分にしかつくれない
「世界を千に彩る」力と出会いを与えてくれた。


やますの商品開発は奇跡の積み重ねから
できている😊


『諏訪聖二流、商品開発』
Vol.31-Vol.40(全10話)


君には俺にはみえない素敵な世界を
楽しんでほしいと願い、その名をつけたんだよ🙏

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