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恩師から無言の教え。3/13 Vol.43

2005年の真冬の2月
あんちゃん(現 寿一社長)がある研修に
自分を派遣した。


その研修は一見、気合い系だったけど
理論的に職場の問題点を浮き彫りにして
根こそぎ自分自身の力で解決するような
研修だった。


同じクラスの研修生たちは全員、他社の人。
歳上かつ全員役員だった。
自分はその人たちの息子のような年齢だった。
みんなカラダは動かないし、
体力もない。
休憩ばっかして
すぐタバコ吸いに行くし、
暗記もにぶい、
プライドは捨てられないし、
頭もカタイ。
正直、楽勝モードだった。


その研修のなかで
講師の小林先生から
あなたよりスゴい人はいますか?
という質問があった。


🙋‍♂️仕事の中ではいないです。
いるとは思いますが今まで見たことがないです。
という なんとも生意気な返答をした。


小林先生はハッハッハっと大笑いをしながら
あなたは優秀。あなたよりスゴい人はいない。
あなたほど一生懸命、涙を流し、
プライドを捨てて
こんなスピード感で課題をクリアしていく
研修生はみたことがない。
日本の未来は明るいな〜
とベタ褒めをされた。


そして4日がたった。
コンコン、諏訪さん、起きる時間だよ!
携帯電話禁止の研修に
目覚まし時計も腕時計も忘れてきた自分。
サガラさんという50歳を超えた大先輩が
自分の目覚まし時計の代わりになっていた。


そして体調を崩した自分にクスリをもってくる
20歳 歳上のタカナシさん。
諏訪さんは若いね〜羨ましいよ〜と
失敗ばかりする自由奔放の自分を苦笑いしながら
カバーしてくれるイシイさん。
課題に対して惜しげもなく
ヒントをくれるスガノさん。
自分の課題そっちのけで自分の課題を
一緒に考えてくれるオサムラさん。
サガラさんは自分の適当なトイレそうじのあと
細かく角まで掃除をしていた。


それでも気づかなかった。


5日目、圧倒的な存在感だった
サガラさんが突然ギブアップをした。
俺、この研修、明日でおわりにしようとおもう。
歳下の先生にあそこまで言われて
我慢ならない。プライドを捨てられない。
といきなり、1番、歳下の自分に言ってきた。


そんなサガラさんに自分はバッサリ
「辞めたければ辞めれば良いですよ、自分は止めないです」と返した。
「諏訪さんならそう言うとおもったよ」と
サガラさんは笑いながら自分の前で泣いた。
俺みたいになるなよ。
50歳を過ぎて後悔しても何もできない。
俺はアタマがカタすぎる。
何も変わらない。
何も変えられない。
手遅れだったよ。
悔しいなぁ〜って大号泣だった。


それまでの自分だったら鬼のように
お前の実力がないだけだろ?と
冷たくあしらうはずだった。


生まれてはじめて
大人の本気の涙をみた。


俺よりスゴい人いるじゃん。
しかもココに。
この人に比べたら俺はまだ本気じゃない。
自分はただできないことから
逃げてきただけだと知った。


サガラさんには何も言えなかった。
一緒に泣くことすらできなかった。
ただ自分も本気で返そうとおもった。


次の日の朝、真冬の2月、
300人をこえる研修生が
同じユニフォームを着るなか
1人だけ房の駅の半袖ユニフォームで
朝礼に挑んだ。
注意?されるに決まってる。
出ていけ❗️って先生から怒鳴られたけど
それでも皆の前の壇上に立って
「みんなで卒業しましょう❗️まわりには自分よりスゴい人しかいないけど自分は誰にも負けない❗️引っ張ろうが引っ張られようが全員、根こそぎ卒業させます❗️サガラさんに届け‼️」という訳がわからない宣言をした。



小林先生も源先生も見透かしていた。
2人の先生は自分が自分自身で
全然ダメだと気づくまで野放しだった。
それまでほめてばかりの2人から
こう言われた。
せいじが上司だったら部下はかわいそうだな。
お前さんに部下の一生は背負えない。
お前さんの自信過剰は人を傷つける。
お前さんは人の人生を小バカにしている。
でも今日のは悪くなかった。と言ってくれた。


この日を境に
心の底で人をバカにすることはなくなった。
自分ができる人間だという気持ちも
どこかに飛んでいった。
ただ自分よりできるはずなのに
本気じゃない人をみると
イライラがとまらなくなった。
これが自分がスタッフに
厳しくなったきっかけだ。


サガラさんは・・・・
一緒に卒業したに決まってる。
人生ではじめて大人ってカッコいいって
おもわせてくれた人だもん。



小林先生!
源先生!
サガラさん!
まだ約束は達成できていないけど
手が届くところまできました😊





『せいじ殿の13人 2003-2015』
Vol.41-Vol.50(全10話)

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