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戦略なんてくだらない Vol.34

自分が諏訪商店に入社して房の駅に立ち上げるとき、いろいろな人に言われた。
「名物とか、房の駅って言ったらコレ!みたいなのつくらなきゃダメだよ」


簡単に言うけど「じゃあ自分で考えてみろよ?」と
心の中でおもっていた。


みんなクチばっかりだ。


いざとなったらアイデアすら出てこないし
出てきたとしてもカタチにはできない。


20年をふりかえって思うことは
そんなのは「お客様が決めること」
ということだ。


戦略的や狙ってヒット商品を出すことは
できるかもしれない。
でもそんな上っ面な商品は2、3年したら
この世からなくなる。



だから1度たりともヒット商品を狙ってつくったことはない。


とはいえ千葉県と言ったら間違いなく落花生だ。
小さい頃からピーナツが
テーブルの上に常に置いてあった。
千葉県イコール落花生、
子どもながらに千葉の落花生は
日本一だと知っていた。


父がこのピーナツは
油が出てるな〜とか 美味しいな〜とか
その一言一言でいつのまにか
自分もピーナツの味がわかるようになっていた。


にもかかわらず、房の駅を立ち上げたとき
落花生の売場は50センチぐらいしかなかった。
だって売れないんだもん。
そしてお客様に売込むと 
「ありきたりすぎるから落花生以外のお土産で、おすすめないの?」と言われていた。


そして落花生の工場と
落花生の農家に行ったときのことだ。
「落花生は年々縮小」
「息子には後を継がせない」
「落花生農家なんて儲からない」
「落花生はつくりづらいんだよ」
「サラリーマンの方がよっぽども良いよ」
「息子は後を継がないと言ってる」
「落花生農家なんてバカバカしいよ」
愚痴のオンパレード。


こうやって作られている落花生。
お客様からありきたりすぎるといわれる落花生。
そして 商人である自分は
「おすすめは何?」と聞かれ
落花生の売場を避けるように違う商品をお客様に紹介した。


なんかアホくさいな。


賞味期限が切れた落花生を
房の駅の事務所で食べていた。
油くさくないしすごく美味しかった。
食べはじめたら止まらない。


なんで売れないんだろ?
なんで売れないんだろ??
なんで売れないんだろ???


工場長の池宮さんの顔が頭に浮かぶ。
農家の杉本さんの長い話が頭に浮かぶ笑


❗️❗️❗️


そして翌日、普段は1ケースしか
発注を入れない落花生を
100ケース注文した。


工場から「注文、間違ってない?」と電話がきた。
大丈夫。
誰もみたことがないぐらい落花生の大きな売場を
つくるから。


そして工場長と落花生農家にみせるから。


空気が一変した。



「日本一の落花生」というキャッチコピーを
至るところで表現をした。


落花生の工場と
落花生の農家に
自分たちが落花生をつくっていることが
ステキなことだと気づいてほしかった。


工場に届け‼️


農家に届け‼️



正直、お客様の方はみていなかった。



工場長とも落花生農家とも
その話は20年たってもしことはない。
だってそんなの野暮じゃん。
20年たった今、
房の駅に限らず、諏訪商店グループ全体でも
落花生が圧倒的な人気No.1になった。
それが答えだとおもう。


結果、房の駅と言ったら
落花生みたいな雰囲気になってきた。
だから名物とか看板商品なんて
どうでも良くて
そんなのは気合いと想いと根性と
お客様が勝手に決めてくれる。


こんなことを紐解いて、メカニズムを解明して
戦略にしたり、戦術にしたって
面白くもなんともない。
だから絶対、紐解かない。


いつだってやますの商品開発は
真っ向勝負、縦横無尽だ。



『諏訪聖二流、商品開発』
Vol.31-Vol.40(全10話)

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