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同級生としての覚悟。 1/13 Vol.41

この章では「せいじ殿の13人 2003-2015」
2003年2号店草刈房の駅をオープンさせてから
2015年にニューヨークを決断するまでの
なくてはならない13人との出逢いと失敗を
全10話で語っていきたいとおもいます。
是非、お付き合いください🙇‍♂️



2002年の6月、房の駅の多店舗化が決まった。
多店舗化って口では簡単に言えるけど、当時、この業界で房の駅みたいなお店を2店舗やってるお店は皆無だったし今でも片手で数えるほどだ。その大変さは正直、その当時、まったくみえてなかった。


同業者やまわりからは
多店舗化なんて大企業がやるもんだよ、
何、寝ぼけたこと言ってるんだ?
と笑われた。


多店舗化するためには
全てのことにルールづくりや
マニュアルが必要になる。


それまでは人もいないから
自分で在庫管理して
自分で発注して
自分で倉庫にとりにいって
自分でトラックに荷物を積んで
自分でお店に持って行き
自分で並べる 
経理も自分
という究極のノーマニュアル店舗運営だった。



昼ごはんどころか昼の休憩をした記憶もない。
靴は底がすり減って毎月買い変えていた。


でも多店舗化へ向けて
仕事のスタイルは
マニュアルづくりや仕組みづくりがメインとなり
パソコンに向かう日々へとシフトした。
当時、パソコンに向かうと
仕事していないじゃないか?と思われがちの
時代だったから
スタッフの目線がすごく痛かったのを覚えてる。
写真を撮るにしても
デジカメじゃなくて使い捨てカメラだった。
メールよりもFAXがメインだったから
とにかく今と比べたら
いろいろな仕事がスローだった。
ボールペンは1週間で1本以上なくなっていく。
パソコンのキーボードは文字がすり減って
アルファベットがみえなくなっていた。
営業時間中はお店にでることが
どんどん少なくなった。


事務所に閉じこもってばかりの
自分を良く思わないスタッフから
「たまには売場に出てください」と
不満を言われた。
反論のしようがない自分は
ごめんと言って
レジを打ちにいく。
でもそれをし続けると前に進まなくなった。
そしてスタッフとの関係をあきらめて
また事務所にこもった。


冷え切ったスタッフとの関係のなか
多店舗化へ向けて
作業マニュアルをスタッフに突きつけた。
今まで自由だったものが
ルールで固められていく。
スタッフとの距離はどんどん遠くなっていった。
「1秒でもはやく❗️」という
作業マニュアルの一言が気に入らないと
言われ、スタッフが辞めたこともあった。
たったそんなことで?で思うかもしれないけど
それぐらいで壊れるほど
関係が冷え込んでいた。


そんな状況はまったく改善されることなく
房の駅は2号店を
駅長不在でオープンすることになる。
結果、人材育成もできていなかった。


売場も体育館のような売場で
今で言う販促物などは皆無だった。
お店への納得感はまったくなかった。
頭で描いていることがまったくできない。
口先だけのカタチにできない自分を
突きつけられた。
売場づくりをわかったふりだけしてて
結局のところ何もわかってない証拠が
新店舗で証明した感じだった。


そして夏休みのお盆の最大の繁忙期に入る朝、
2人の社員が不満を言って突然、
同時に退職をした。


2号店の草刈房の駅はできたものの
正直、房の駅は中身も外見も
ズタボロの状態だった。


そして当時 店舗を任されながらも
店長ではなかった アリモ(現通信販売部 課長)を
2号店 草刈房の駅 駅長にすることを決めた。


実はアリモは中学時代の同級生だ。




アリモに対して自分にも甘えというか友達気分があったのかもしれない。だから育てられなかった。多店舗化に向けて そういうのをお互い全部断ち切った。アリモがプライドを全部、過去に置いてきてくれた。理不尽なことも幼い指示にも、えげつない命令にも部下として必死に食らいついてきてくれた。そして自分のことを上司として立てることを貫いてくれた。そのおかげでチームに規律が生まれ、統率がとれるようになった。マニュアルとかやり方とかそんなの飛び越えてひたすら想いをぶつけたし、衝突を許さないほどの圧でひたすら働く姿勢を魅せた。そこに手加減はなかったし妥協もなかった。


ベンチャー企業でありがちな
友達と働くスタイルは
周りが想ってるほど簡単じゃない。
きっと上司よりも部下の方の器が問われる。




プライドを置いてきてくれた アリモに感謝なんかしない。でも20年かかろうが30年かかろうが アリモが俺についてきてよかったと想ってもらえるような会社になろうと道標ができた。


房の駅としての店づくり、売場づくり、人材育成、人間関係に対する意識が劇的に変わっていくきっかけとしては自分にとってはアリモの犠牲は十分すぎた。


個店経営と多店舗化経営は天と地ほど違う。
家族経営的なものを捨てながらも
家族経営的なものを追い続ける矛盾との戦い。


本当の戦いがはじまった。


『せいじ殿の13人 2003-2015』
Vol.41-Vol.50(全10話)

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