司法試験の勉強方法 その6 伝える力


前回までのあらすじなど

前回は「伝える力って大事だよ」という話をしました。
今回は、司法試験に必須である「答案で伝える力」とそれを高める難しさについてちょっと考えてみます。

あと、ちょっとタイトルの雰囲気変えてみました
驚くほどどうでもいいですね。

「文章で伝える力」

司法試験合格には、合格できる程度の「文章で伝える力」が必要です。
足りない人は、高めなければなりません。
しかし、私のような並の人間は、ここで大きな困難に直面します。

「この文章で自分の意図が正確に相手に伝わるだろうか?」

日々生きていく中で、こんなこと真剣に考えたことがある人、います?
少なくとも、私はほとんど考えて生きていません

「文章で伝える力」なんて

日常生活において、「文章で伝える力」について真剣に考える機会なんて、おそらくほとんどありません。

もちろん、メール、LINE、SNSなど、文章を考える機会は沢山あります。
しかし、メールやLINEは、通常受け手側が意図を「汲んで」くれます。
また、そもそもSNSなどは、自分の意図を正確に伝える必要がありません(というか、正確に伝わると期待すること自体が過ちです)。

つまり、多くの文章は、そこまで真剣に考える必要がありません
しかも、多くの場合は、ミスっても後から弁解が効きます。
気楽なものです。
時間を割いて真剣に考える必要なんてありません。
むしろ、考え過ぎてタイミングを逃す方が問題だという場面すらあります。

時には考える時もあるけれど……

「好きな人に対する愛の告白」

これはもしかしたら、「文章で伝える力」について真剣に悩む数少ない場面かもしれません。
人生の素晴らしい1ページですタヒね。

でも、普通は1ページか、多くても3〜5ページ程度ではないでしょうか。
あまりページ数が多いと、人格そのものが疑われかねません
真剣に愛の告白をする機会なんて、それほど多く無いわけです。

「文章で伝える力」は意識されない

多くの人は、いつも何気なく言葉を交わし合っています。
その際に

「この単語で大丈夫か?」
「この並び順で意味が通じるか?」
「この接続詞の用法は正しいか?」
「他の意味に解釈される危険性はないか?」

なんて考えません。

多くの人は、自分の意図は当然相手に伝わっていると盲信確信しています
そして、もし自分の意図が相手に伝わってないことが分かれば、「こいつは変なやつだ」と切って捨てます

これは決して悪い傾向ではありません。
大体、文章など、コミニュケーションの中の極一部でしかありません。
それに、自分の意図が相手に伝わっていると盲信確信できなければ、円滑なコミニュケーションは成り立ちません。
だから、盲信確信していて良いのです。

しかし、そのために「伝える力」はあまり意識されません。
特に「文章で伝える力」は、全くと言っていいほど意識されていません。

答案で伝えるということ

意識していない力を試験の場で発揮するのはほぼ不可能です。
しかも、試験との関係では、更なる壁が存在します。

試験との関係では「文章で伝える力」=「答案で伝える力」です。

前に書いた通り、採点者には、答案以外の情報は一切与えられません。
もちろん、こちらも採点者のことは特殊なヤバいケースを除いて知りません。

このことは、受験生は採点者という見ず知らずの人に対して、答案という一通の書面だけで自分の能力(自分の思考過程)を伝えなければならない、ということを意味します。

考えてみれば、これは物凄く大変なことです。
普通に生きていて、こんな場面ありません。

普通、人が人に何かを伝えるためには、様々な方法があります。
文字でのやり取りだけではありません。
電話でのやり取り、対面でのやり取りもあります。
そこでは非常に多くの情報が飛び交っています。
文体、声色、動作、表情、視線など、とてつもない量の情報がやり取りされています。
人が人に何かを伝える場合、このように複数なコミュニケーションを、相互に、しかも何度も行うのが通常です。

それをなんですか?
一通の書面だけで伝えろと?
意味不明な事案の分析を行いながら
しかも時間制限もある中で、限られた文量で?

無理!!

しかし、そういうクソみたいな試験です。
諦めてください。

「答案で伝える力」を高める難しさ

そんなわけで、司法試験に合格したければ「答案で伝える力」を向上させる必要があります。

しかし、「文章で伝える力」そのものが意識されていないせいでしょうか?
「答案で伝える力」自体を高めるメソッドは少ないように思います。
精々が「法的三段論法を意識しましょう」みたいなやつです。

それに、向上させる前提として、まずは自分の「答案で伝える力」を把握しなければなりません
しかし、これが結構難しいわけです。

ここは、論文式試験の難しさ(https://note.com/seijiasada_law/n/n63cb924c6971)と、少し重複します。

自分の「答案で伝える力」を把握するには、自分の答案を誰かに読んでもらい、冷徹に評価してもらう必要があります。

その際に、自分のことを良く知っている人に読んでもらうのでは、正確な判定が困難となります。
文章以外の様々な判断要素が入り込んでしまうからです。
また、受け取る能力があることが確実な相手に読んでもらわなければ、判定結果に信憑性がありません
「伝える力」の性質上、伝わるかどうかは相手の受け取る能力に大きく左右されるからです。

結局は、一定程度の受け取る能力があることが確実で、しかも自分のことを知らない、もしくは、知っていたとしても文章だけを見て客観的に判断することができる能力がある人に、自分の文章を読んでもらうしかありません。

要は「司法試験合格者に答案を読んでもらうしかない」ということです。

次回の予告

次回は「答案で伝える力を高めるための予備校の使い方」について考えてみようと思います。
やっと予備校の使い方に戻れそうです。

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