司法試験の特徴 勉強方法 その1

この世には「確実に試験に合格する方法」は、一応存在しません。

ただ、「確実に試験に合格しない状態」というものは、一応存在します。
それは、試験日の時点で、自分の実力が、合格に必要なそれを下回っている状態です。

当たり前すぎて退屈な話ですが、少しだけお付き合い下さい。


司法試験の剣ヶ峰は論文です。
そのため、司法試験に合格するには、合格水準の論文を書けるようになる必要があります。

司法試験に限った話ではありませんが、論文式試験は、「実力がなければ採点ができない」という、非常に大きな特徴を持っています。
短答(マルバツ式)と違い、単純な正誤で評価するものではないからです。


このことは、実力者による採点を受けない限り「自分の実力」は分からないし、実力者による解説を聞かない限り「合格水準」も分からない、ということを意味します。

「確実に試験に合格しない状態」を脱するためには、自分の実力と合格水準を比較して足りない部分を伸ばさなければなりません。
ところが、論文式試験は、まずここが非常に難しいわけです。


加えて、司法試験の範囲は極めて広範で、出題される論点も多種多様です。
単純に、要求される知識量は多いですし、思考力、表現力、論述力も求められます。
一般常識を持っていないと思慮される合格者も数多くおりますがこれも要求されます。

また、そもそも「実力者」と一口にいっても、その実力の程度にはかなりの開きがあります。
色々な人が受験しておりますから、「実力者」の中には様々な考え方の人がいます。

これら諸事情のおかげで、司法試験の論文は、「実力者」が採点した場合でも、評価や内容が本当に一定しません。


もちろん、実力者であれば論ずべき核心部分を落とすことは多分ありません。
ですからある人の採点が満点で、他の人の採点だと零点、などということは多分ありません。

しかし、人によって重視するポイントなどが異なるため、採点結果にかなりの差異が生じてしまうことも珍しくないわけです。


結局、私のような並以下の受験生は、「自分の実力」も「合格水準」も分からない、という不安定な状態に置かれてしまいます。
その結果、自分に足りない部分が分からなくなり、何をどう伸ばせばいいのか判断できなくなってしまいます。

要は「合格への道筋」を見失うのです。


私は、これが司法試験の特徴、司法試験が難関と呼ばれる一番の理由だと考えています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?