民衆芸術運動Ⅰ

《黒耀会》

アナルコサンジカリスムと民衆芸術

 大正八(一九一九)年の暮れ、民衆芸術集団『黒耀会』が立ち上がった。日本のアナキストが中心となり、《新しき世界の為の新しき芸術》を創造する活動を始める。

民衆美術宣言

宣言
 現代の社会に存在する藝術は、或る特殊の人々の専有物であり、又玩弄物の様な形式に依って一般に認められている。こんな芸術は何処にその存在を許しておく価値があろう。この様なものは遠慮なく打破して吾々自主的のものを獲えねばならぬ。これが此の会の生まれた動機である。

大正八年 十二月 五日
黒耀会

会則
一、本会は黒耀会と称す。
一、本会は自主的藝術革命を目的とする人々に依って組織す。
一、本会は研究会及実際運動をなす。(月一回研究会を開く 第一日曜午後六時より)
一、本会には一切の会務を処理するために会員互選の世話人を置く。
一、会費は一ヶ月金弐拾銭とす。
一、本会の事務所を当分の中左記の場所に置く。
一、東京本郷区千駄木町二一〇 望月桂 方

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