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Anarchy in the 1K 《詩》

「Anarchy in the 1K」

4畳半ひと間の1K

僕はそのボロアパートに
Anarchy in the 1K そう名付けた

風呂無し、共同トイレ
エアコンなんてある訳が無い

独房の様な部屋

壁にはSid & Nancy のポスター

バッタモンの黒いテレキャスター
それが僕の全て

同じ様な仲間で狭い1Kはいっぱい

近くにスターレーンってボウリング場があって

僕等は用事も無いのに入り浸り

だってクーラー効いてるし
漫画だって沢山ある

夏は此処に限るね


金ねえなぁ 腹減ったなぁ

誰かがそう言った

確かにバイト代も使い果たしちゃったし

学費もバカにならないし…
どうしよう

俺ねぇ 駅前のアーケード街
朝4時くらいかな

道端にパンが沢山落ちてるの見たんだ 
多分 木曜日の朝だよ

仲間の1人がそう言った

僕等はマジで何処だよ 
それ何処だよ 

そいつはパン屋さんの前だよ 

犯罪者の顔でそう答えた

僕等は瞬時に全てを理解した

その日 計画は綿密に練られた

犯行の日時 
各自の役割分担等決められた

薄霧かかる早朝の所沢
計画は実行された

落ちていたパンを
各自 
持参したリュックに詰め走った 

後ろも振り向かず走り抜けたプロペ通り

その犯行はコードNo. 朝パンと呼ばれた

他言無用の史上最大の犯罪となった

アジトの1Kで収穫したブツを分配した

壁のポスター
Sid がその全てを見ていた

Photo : Free Pic

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